↑4人部屋です・・・
おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
週末なので、「一週間の骨盤臓器脱手術記録」を書きます。
患者さんを特定できないよう、数週間前の日常を描写しています。
子宮脱膀胱瘤の手術を6例行いました。
この週は、子宮脱+膀胱瘤の手術を6例行いました。
全員が大きなトラブル無く経過し、だいたい予定通りに退院していきました。
入院中は時間があるので、手術を受けたご婦人たちは、いろいろ暇つぶしをしています。
よく見かけるのは、読書・クロスワードパズル・編み物の3つですね。
以前、↑「カイジ」を読んでるご婦人を見かけたことがあります。
ご婦人4人の大部屋で、積み重なった「カイジ」のコミックが異彩を放ってました。
ざわ・・・
↑ブログ記事を書いてる人も、見かけたことあります。
「日記みたいなものよ(笑)」とか言ってたけど・・・
てゆーことはあれですか? 入院手術体験記も書くってことですかね?
下手なことはできません・・・(汗)
毎日まいにち骨盤臓器脱手術ばっかりで飽きないの?
「毎日まいにち骨盤臓器脱手術ばっかりで飽きないの?」と思われる方もいるかもしれませんね。
心配ご無用です(笑)
毎日まいにち骨盤臓器脱手術ばっかりやり続けるのって、(私にとっては)そう簡単なことじゃないんです。
↑患者さんの「骨盤臓器脱のタイプ」はさまざまです。
子宮脱がメインの人、膀胱瘤がメインの人、直腸瘤がメインの人、子宮が無い人(膣脱)、小腸瘤を伴う人、子宮頸管が腫大している人、直腸脱や痔核を合併する人・・・
それぞれにおいて、「必要な作業」および「難易度」は異なります。
さまざまな「骨盤臓器脱のタイプ」に対し、最適な術式を選択し、確実な手術を行わなければいけません。
そして手術を受ける人の大部分は、いろんな「マイナス要素」を持っています。
手術の際には、これらの「マイナス要素」を、すべて安全にクリアしなければいけません。
子宮がほとんど下がってこず手術しづらい人、膣口が狭い人、癒着のある人、膣壁がもろい人、出血しやすい人、靭帯が分かりづらい人、太ってて靭帯に指が届きにくい人、股関節術後で下肢を十分挙上できない人・・・
糖尿病のある人、心臓や腎臓が悪い人、血液サラサラの薬を飲んでる人・・・
さらに、もし術中術後にトラブルが起こったら、適切に対処する必要があります。
癒着が強くて剥離できない、膀胱直腸を損傷した、いい位置に穿刺できない、穿刺したら出血した・・・
術後排尿障害、術後出血、便秘、疼痛、再発・・・
いろいろありますが、
「全員をトラブル無く予定通り退院させ、全員を一発で再発無く治す」
生体を扱う商売なので、100%達成は難しいけれど、限りなく100%に近づく努力を続けています。
それは(少なくとも私にとっては)容易なことではありません。
いろんな「骨盤臓器脱のタイプ」や「マイナス要素」や「トラブル対応」について、ひとつひとつ詳細な対処法を書いてある書籍など、存在しません。
だからあらゆる手段を駆使して学び、考え抜き、経験を積み、自分なりに統合して、対処法を確立しなければいけません。
さらに技術は、時代とともに進化していきます。
次々に出てくる新技術をキャッチアップして、さらに自分なりに工夫を加えていく・・・
極めようとしたら、やるべきことはいくらでもあります。
だから、たぶんずっと飽きることは無いと思います。
赤木一成 辻仲病院柏の葉 骨盤臓器脱外科