子宮脱膀胱瘤の手術が不安な方へ。99%の方はほぼ予定通り退院してます。

 

わたし、子宮脱の手術を受けることになったんです

手術を受けるの初めてなので心配です。

安全なのかしら? 予定通り退院できるのかしら?

 

こんな疑問に答えます。

 

 

ここ数年では、わたくし毎年200例を超える子宮脱・膀胱瘤の手術を、術者として執刀しています。

手術受けるとなったら、もちろん誰だって不安ですよね。

子宮脱の手術を受ける人が、具体的にどんな経過をたどるのか、知っておくことで安心できるんじゃないかと思った次第です。

 

子宮脱膀胱瘤の手術で「絶対大丈夫」と保証することはできませんが、安全性は昔と比べて大きく向上しています。

わたくしの場合、子宮脱や膀胱瘤の手術を受ける患者さんに対して、「99%大丈夫」と言わせていただいてます。(もちろん「100%大丈夫」とは言いませんよ)

 

たとえば昨年(2019年)の一年間では、私が行った子宮脱/膀胱瘤の手術208例のうち、207例は大きなトラブル無く、ほぼ予定通り退院できていました。

(排尿排便の状態で、1~2日ほど入院が延長することはありますが、これは「ほぼ予定通り」に含めています)

 

これは2018年も2017年も、同じくらいの実績でした。

だから、「99%大丈夫」と言っているのは、この数字を裏付けとしています。

 

術後トラブルの大半は「便秘」です。重大トラブルはめったに起こらないと言えます。

手術を受ける以上、だれでも多少の「痛み」は感じるので、ここでは「痛み」以外のトラブルの話をさせていただきます。

 

子宮脱/膀胱瘤の術後に生じるトラブルのうち、圧倒的多数を占めるのは「便秘」です。

だれでも入院すると便秘気味になりますが、手術を受けてしばらく安静にすることで、さらに便秘しやすくなるわけです。

術後は全員に下剤を処方していますが、それでも便秘になる人が時々います。

回診時には、かならず便通と排尿の具合を聞いて、便秘しているようであれば下剤を追加しています。

 

もうひとつ、子宮脱・膀胱瘤の術後にときどき起こるのは、「尿意が頻繁にある」とか「残尿感がある」といった、おしっこの不具合です。

これは手術操作で膀胱が刺激を受けたり、下がっていた膀胱が元の位置に戻ることで、膀胱が「びっくり」するんですね。(ちょっと変な表現ですが、みなさん分かってくれるので愛用しています…)

これは経過を見ていれば、大半の方は自然と軽快していきます。

症状が続く場合には、飲み薬を処方することでよくなっていきます。

 

重大なトラブルはめったに起こらないと言えます。

「大量出血で輸血が必要」とか、「直腸や膀胱を大きく損傷して再手術」とかいったトラブルは、500人に一人くらいの割合でしょうか。

もちろん今後も絶対に起こらないとは言い切れませんが、最近はこんな感じです。

 

病棟にはあなたと同じ子宮脱手術を受けた先輩が、いつも何人か入院していますよ。

現在わたくし、子宮脱膀胱瘤の手術を、週にだいたい5人くらい手がけています。(多い週には7人とか手術することもあります)

そしてこの手術の入院期間は、だいたい一週間です。

だから病棟には、常時5人ほど、わたくしの手術患者さんが入院していることになります。

そしてこの中で、あなた以外のほとんどのご婦人は、手術を受け終わった「先輩」です。

不安であれば、先輩のご婦人たちに、いろいろ聞いてみるといいかもしれませんね。

 

作成:赤木一成(辻仲病院柏の葉 医師)