安全第一でやってます・・・
おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
週末なので、「一週間の骨盤臓器脱手術記録」を書きます。
患者さんを特定できないよう配慮して、数週間前の日常を描写しています。
手術を7例行いました。
この週は、子宮脱膀胱瘤の手術を7例行いました。
例によって、特に問題なく、みなさま予定通りの退院です。
この週は、持病を持ってる高齢者が多かったんです。
安全に手術できるように、患者さんの状態をきちんと評価して、手術に臨んでいます。
手術前に必ずチェックすること
今回は「術前チェック」のお話をさせていただきます。
術前にチェックすることは、以下の3つです。
- 持病
- 内服中の薬
- 術前検査
持病のチェック
これは、初診時に問診表に記入していただきます。
頻度が高くて問題になりやすいのは、循環器系の疾患と、糖尿病ですね。
狭心症でステントが入ってたり、糖尿病でHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が8を超えてたり。
このような場合には、かならず主治医に手紙で連絡を取ります。
骨盤臓器脱手術を行っても支障ないか確認したり、手術までの待ち期間に糖尿病治療を強化してもらったりします。
内服薬の確認
問題になるのは、たいてい「抗血栓薬(血液サラサラの薬)」です。
抗血栓薬を飲んでると出血しやすくなるので、手術の時に中止する必要があるんです(出血リスクが低い手術では中止しないこともあります)
でも抗血栓薬を中止すると、血栓ができやすくなるから、脳梗塞などの血栓トラブルが起こる可能性が生じてきます。
だから抗血栓薬を飲んでいる場合には、これを中止していいか、主治医に問合せの手紙を書きます。
大抵の場合、「中止してOK」との返事が来るので、抗血栓薬を中止して手術に臨みます。
中止する期間は、手術一週間前からとか、1日前からとか、薬の種類によります。
画像引用:持田製薬
そしてたまに、「ヘパリン化してください」との返事が来ることもあります。
↑ヘパリンって、点滴の抗血栓薬です。
手術数日前に、内服の抗血栓薬をヘパリンに切り替えて、手術ギリギリまで点滴するんですね。
こうすることで、血栓ができるリスクを最小化するわけです。
さいわい当院の骨盤臓器脱手術では、血栓トラブルが起こったことは無いんですけどね。
術前検査
骨盤臓器脱手術を受ける患者さんは、術前検査を受けていただきます。
主なものは・・・
血液検査、心電図、胸部レントゲン、呼吸機能検査などですね。
これらの検査は、全国どこの病院でも、どの領域の手術であっても、共通して行われているものです。
もし異常が見つかるようであれば、手術までの間に治療するとか、手術を延期するとか、状況に応じて手を打ちます。
内科と麻酔科の診察
これら3つの関門をクリアしたら、内科診察と、麻酔科診察に回します。
どちらも経験豊富で信頼置けるDr.なので、安心してお任せして大丈夫です。
大抵の場合、「手術OK」とのコメントが来るので、これでようやく手術GOサインが出ます。
安全な手術のために、いろんな手続きが必要ということですね。
この先生方、リスク高い時ははっきりNG出してくれるので、こっちもやりやすいんです。
「あの先生が言うんだから、ホントにやめといたほうがいいよね」という感じです。
かつて、こんな時にOKともNGとも言わずに、「主治医が判断してください」みたいな責任回避コメントを返してくるDr.がいました。
それが続くと、「あの人に依頼しても意味ないよね」となって、他のデキる人に仕事が集中していく・・・
どこの組織でも見かける光景ですよねえ(笑)
赤木一成
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科