骨盤臓器脱(膀胱瘤・子宮脱)の術後に尿が漏れる? 原因と治し方。

わたし、膀胱瘤で手術を考えてるんです。

でも手術すると、尿が漏れやすくなるって聞きました。

これってなぜですか? 治しようがあるの?

こんな疑問に答えます。

 

 

骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤)の手術を受けたあとに、尿が漏れやすくなるって聞いたら、やっぱり心配ですよね。

 

大丈夫。ちゃんと治しようがありますよ。

 

骨盤臓器脱術後の尿漏れ(腹圧性尿失禁)は、手術の合併症ではありません。

 

↑これは、私が骨盤臓器脱の手術の際に、患者説明で使っているパンフレットの内容です。

 

なぜ骨盤臓器脱(膀胱瘤・子宮脱)の手術を受けると、尿が漏れやすくなることがあるのか?

これを見ていただければわかると思います。

 

手術の合併症で尿漏れが起こるんじゃなくって、「もともと尿道がゆるくて、尿が漏れやすい体質だった」ということなんです。

 

この尿漏れは、経腟手術でも経腹手術でも、術式に関係なく起こる可能性があります。

 

もし尿漏れが起こるようなら、多くは骨盤底筋体操でよくなってきます。

 

もし骨盤臓器脱の術後に尿漏れが起こったらどうするか?

まずは、骨盤底筋体操を始めていただきます。

これだけで改善してくる人が多いんですね。

 

患者さんが「尿が漏れやすくなった」と訴えるのは、だいたい退院後初回の、3週間目の外来です。

このころには術後一か月くらい経過しているので、少しずつ体操を始めても大丈夫です。

 

骨盤底筋体操で尿漏れが良くならない人だけ、追加手術を行います。

 

骨盤底筋体操をやっても尿漏れ(腹圧性尿失禁)が改善しない場合には、追加手術を考慮します。

 

↑この手術、「TOT手術」と言います。

ゆるくて不安定な尿道を、テープで支えてあげるんです。

 

子宮脱膀胱瘤の手術とくらべると、だいぶ規模の小さい手術なので、手術時間は20~30分くらいで終わります。

 

子宮脱膀胱瘤の手術を100人行ったとすると、そのうち3~4人くらいで、このTOT手術が必要となります。

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科