おはようございます。辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科の赤木一成と申します。
毎日のように、子宮脱や膀胱瘤や直腸瘤の手術をしています。
今回は、「骨盤臓器脱手術を生業としています」シリーズの続編です。
骨盤臓器脱手術を生業としています①:独立した術者になるのは大変
骨盤臓器脱手術を生業としています②:術者を続けていくのも大変
よろしければ、お付き合いください・・・
私の医師人生で、強く印象に残っている言葉。
突然ですが、わたくし1994年に医師になり、ずっと↑骨盤底領域の外科(骨盤臓器脱・直腸肛門疾患)を専門としてきました。
四半世紀にわたって、手術と大腸内視鏡に明け暮れてきたことになります。
この私の医師人生で、強く印象に残っている言葉がいくつかあります。
その中の一つがこれ↓です。
「やるならとことんやれ。その覚悟がないなら最初から手を出すな。中途半端は危ない。」
これって、むかし私のオーベン(上司)が、よく言ってたセリフです。
ほかにもあります。
↓これは「独立した術者」であれば、だれでも同意してくれるんじゃないかと思います。
「標準的な手術だけ上司と一緒にやれても、それは『できる』とは言わない。上司のいない立場で手術して、あらゆる難症例やトラブルを乗り越えて、何年間も結果を出した奴だけが『できる』と言える」
「勘違い」を乗り越えて、「押しも押されもせぬ一人前」へ。
若手外科系のドクターにありがちな「勘違い」があります。
簡単そうな症例を、上司の指導のもとで、なんとか数件やり遂げただけで、態度が大きくなってくるんです。
「もう俺は一人前だーっ!」なんて、自信満々です。
どんな外科医だって、若手の頃は、こんな勘違いをする時期があるんですね(もちろん、私もそうでした)
そしていろいろ難しい症例を経験して、トラブルを経験して、叩きのめされて、上司に助けてもらって、未熟さを思い知らされます。
そこから立ち直って、さらに修行を積んで、成長していくんです。
そしていずれ、自分が「独立した術者」となって、自分一人とか、自分より若手と手術する時期が来る。
そこでプレッシャーに耐えられず心折れる人もいるけど、それを乗り越えてはじめて、「押しも押されもせぬ一人前」になるんです。
ここまで行って、「とことん」やったことになり、手術が「できる」と言えるようになるんですね。
「外科系で一人前になるには10年かかる」と言われます。
たしかにこの域まで到達するには、順調に行ってもそれくらいは要するでしょう。
やっぱり「やるならとことんやれ。中途半端は危ない。」は真理だと思う。
覚悟を決めてとことんやらないと、『できる』レベルに到達できないまま、ずっと手術をやり続けることになります。
中途半端なままやり続けると、いずれ危ないトラブルが頻発して、周囲の信用を失って、手術の現場から退場させられることになるんです。
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科