おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科の赤木一成です。
毎日のように子宮脱や膀胱瘤の手術を行っておりますが、患者さんのなかには90歳近い高齢の方がいらっしゃいます。
このようなケースに行われる術式として、膣閉鎖術があります。
もっとも侵襲(ダメージ)の小さい術式とされているんですね。
この膣閉鎖術って、要は「膣を縫い閉じてしまう」術式であります。
膣閉鎖術って、図のように膣を縫い閉じる方法です。
私もかつて、婦人科のベテラン先生にご指導いただいて、できるようになりました。
この膣閉鎖術、たしかにきちんと治るんですけど、手術に1時間くらいかかってしまいます。
これって、いつも私がやっている骨盤臓器脱手術と、時間的にほぼ同じです。
麻酔法も同じだから、手術の侵襲(ダメージ)も、いつもの手術と大差ない感じがしたんです。
しかも当然、術後は膣がふさがってしまいます。
術後に患者さんを診察しつつ、「うーむ、これでいいんだろうか?」などと思ったんですね。
(苦情をいただいたことは無かったんですが)
膣閉鎖術を修得したけれど、今ではやらなくなった。
わたくし外科出身なので、乳がんの手術患者さんを、過去に数多く担当してきました。
そこで思ったのは、「やっぱり女性のアイデンティティである乳房が変形するのは、女性には受け入れがたいだろうな」ということなんです。
それと同じで、「膣閉鎖術で、女性のアイデンティティである膣を縫い閉じてしまって、女性は受け入れられるんだろうか?」
こんな風に思ってしまったんですね。
「これだったら、自分がいつもやってる術式のほうがいいかな。麻酔法も同じだし、手術時間も変わらないし、膣の形も保てるんだから。」と思って、膣閉鎖術をやらなくなった経緯があります。
(あくまでも私の考えです。膣閉鎖術を愛用している婦人科の先生がいらっしゃれば、謝罪いたします)
こんな条件を満たすなら、膣閉鎖術をレパートリーに加えてもいいかも。
もし私が、これから膣閉鎖術をレパートリーに入れるのであれば・・・
- 局所麻酔でできて(全身麻酔や脊椎麻酔が不要)
- 今の子宮脱手術よりずっと短時間でできて(せいぜい30分)
- 再発も無く
- 膣がふさがっても患者さんが不満を抱かない
こういった条件を満たす必要があると考えます。
これなら、いま私がやっている手術より低侵襲です。
超高齢者とかにうってつけなので、私もこの膣閉鎖術に前向きになるんでしょうね。
「何を言うか、俺の膣閉鎖術はそんな感じでできるぞ!」という先生はいらっしゃいませんか?
一度教えを請いたいと思います・・・
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科