おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科の赤木一成です。
手術を生業としていますと、「平穏で単調な毎日」というものが、いかに難しく、いかに貴重なものかということを痛感させられます。
骨盤臓器脱外科の世界は、緊急事態がほぼありません。
わたくし、骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤・直腸脱)の手術を生業としており、手術を年に200例以上手がけています。
この患者さんたちを、全員何も起こらず順調に経過させて、ほぼ予定通りに退院させる。
現在はこれをほとんど実現できていますが、実際にこうなると、平穏で単調な毎日になります。
毎日まいにち同じことの繰り返しで、ほとんどイベントが起こりません。
月曜から金曜まで、判で押したような生活になっていきます。
この骨盤臓器脱外科の領域は、緊急手術というものがほぼありません。
年に数回あるのは、術後に傷から出血したときに、止血を行うような事態です。
でもこれだって、ほとんどは病棟の処置室で、数分もあればできてしまいます。
手術室に行って麻酔をかけて止血するなんて、そうそうありません。
医療ドラマとは正反対の世界です。
こんな生活、医療ドラマにはなりえないですよね。
ドラマでは、毎日まいにちすごい手術が展開されて、同僚が驚愕して、マスコミが取材に来る。
毎日まいにち激しいバトルが繰り広げられて、陰謀が飛び交って、しょっちゅうだれかがクビになる。
ドラマだとこうなりますけど、こんな生活している医者って実際いるんでしょうか?
経験を重ねるにつれて、平穏で単調な毎日になっていきます・・・
スポーツ選手とかだと、修業を重ねて腕が上がるほど、みんなの見ているところで素晴らしいパフォーマンスを披露できて、多くの人から賞賛を浴びます。
でも手術する医者の世界では、修業を重ねて腕が上がるほど、だんだん何も起こらなくなっていきます。
いずれ周囲はそれを当たり前と思うようになり、何も知らない新入りから「あの先生ヒマそう」とか思われてしまうんですよね(笑)
今日は余談でした。
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科