骨盤臓器脱外科の赤木一成と申します。
毎日のように骨盤臓器脱の手術を行っているのですが、外来で時々いただくのが↓この質問です。
「骨盤臓器脱の術後も、子宮がん検診は受けられますか?」
では、回答させていただきます。
目次
骨盤臓器脱手術のあとでも、子宮がん検診は受けられます。
まず結論から。
子宮脱膀胱瘤の手術のあとでも、子宮がん検診は問題なく受けることができます。
これは直腸瘤の手術でも同じです。
ただ、いくつか注意すべきポイントがありますので、そのへんをちょっと触れてみます。
経腟手術の術後は、ほとんど問題なく検診を受けられますが・・・
まず、骨盤臓器脱の↑経腟手術(膣側からの手術)受けた場合を挙げてみましょうか。
手術で子宮が正常の位置に持ち上がりますが、膣はふさがっておらず、膣口から子宮頸部を見ることが可能です。
よって子宮がん検診は普通に受けられます。
ときどき、検診医が「手術の傷あと」に気付くことがある
ただ、注意事項として・・・
↑膣壁に手術の傷あとが残るので、検診の先生が「あれ?」と思って、なにか聞かれるかもしれません。
この場合、「骨盤臓器脱の手術を受けました」と伝えておけば問題ありません。
たまに癒着を生じてて、検診がうまくできないことがある
あと、たまーにあるのが・・・
骨盤臓器脱術後に、膣壁が癒着して、膣が狭くなってるパターンですね。
術前にペッサリーを使ったりしてて、膣壁に炎症が生じて、癒着しやすい人に時々見られます。
この場合、「子宮がん検診がうまくできない」と言われることがあるかもしれません。
その場合には、あらためて私のところを受診して下さいませ。
状況に応じて、癒着している場所を剥離する(はがす)処置を行えば、通常の膣の形状に戻すことができます。
経腹手術では、子宮がん検診は問題なく受けられる
もうひとつ、↑腹腔鏡下仙骨膣固定術の場合について。
この手術では、子宮頸部を少し残して、子宮の大部分を取ります。
そして膣壁の前後にメッシュを当てて、おなかの中から吊り上げます。
これも膣がふさがるわけではなく、膣口から子宮頸部(点線)を見ることが可能です。
だからこちらの場合も、子宮がん検診は普通に受けることができます。
たまに、メッシュ露出を指摘されることがある
ただしこの経腹手術、メッシュを膣の前後壁に貼り付けているので・・・
たまーに、メッシュが膣壁から露出していることがあります。
このようなケースでは、やっぱり検診の先生が気づいて、教えてくれると思います。
その場合は主治医のところを受診して、露出メッシュを取り除いてもらう必要があります。
以上です。
- 骨盤臓器脱の手術を受けても、ほとんどの場合、子宮がん検診は問題なく受けられる。
- もし「膣が狭くて検診がうまくできない」とか「メッシュが露出してる」と言われたら、主治医受診を。
要点はこれくらいですかね。
赤木一成 骨盤臓器脱外科医師