6月の骨盤臓器脱手術記録です。術者が背負うプレッシャーのおはなし。

若手外科医あるあるw

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。

 

今回は、「術者が背負うプレッシャー」そして「私なりの対処法」について、お話させていただきます。

よろしければ、お付き合いください。

 

6月に手がけた手術は32例でした。

 

月初めなので、「先月の骨盤臓器脱手術記録」を記録しておきます。

 

先月(2023年6月)に、ワタクシが術者を務めた手術は、32例でした。

6月は祝日が無いのでフル稼働です(笑)

 

32例の内訳は・・・

 

 

↑骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤・膣脱)の経腟手術が29例。

 

 

↑直腸脱の経肛門手術が2例。

 

 

尿失禁に対するTOT手術が1例でした。

 

また私とは別に、↑腹腔鏡チームが骨盤臓器脱経腹手術を10例ほど行っていました。

 

術者が背負うプレッシャーのお話

 

私事で恐縮ですが・・・

ワタクシ、手術当日の朝に、必ずイメージトレーニングを行ってます。

 

2100件以上繰り返してきた手術だから、もちろん手順は完璧に暗記しています。

 

「だったらもうイメトレする必要無いのでは?」と思われる方も、いらっしゃるかもしれませんね。

 

たしかに、「手術手順のおさらい」という意味では、もうイメトレは不要かもしれません。

 

このイメトレ、いまだに続けている理由は・・・

「平常心で手術に臨む」という目的のためなんです。

 

 

手術って、少なくとも私にとっては、プレッシャーを伴う作業です。

(命に関わらない手術をやってる私ですらそうなんだから、脳とか心臓とかの手術をやってる術者は尊敬に値します)

 

 

ソロの術者なので、判断はすべて自分で行う必要があります。

このフィールドでは私が院内トップなので、術中迷った時の相談相手はいません。

万一トラブルが生じた時も、自力でカタをつけます。

(もちろん婦人科泌尿器科がらみの時は、各科のエキスパートDr.を頼るんですけどね)

 

 

患者さんに合併症が生じたときには、自分が全責任を負わなければいけません。

 

もし事故を起こしたら、被告席に立たされたり、術者生命を絶たれる可能性もあります。

 

 

そして、私から見たら経過良好の人であっても

「手術にそこまで要求されても無理ですがな・・・」みたいなことで、↑不満を抱かれることもあります。

(「違和感がある」とか「すっきりしない」とかが代表例)

 

 

 

そもそも、人体に起こる無数の生命現象を、人間が完全にコントロールするなんて、しょせん不可能なんだと思っています。

 

どれだけきちんと術前評価を行って、問題なく手術を終えたと思っても、想定外の事態は起こりえるということですね。

 

プレッシャーを克服するために

 

ということでワタクシ・・・

手術にのぞむ際には、できることをすべてやります。

術前検査とか、集中力を保つルーチンとか、このイメトレとかですね。

 

さらに、「縁起かつぎ」みたいなこともやってます。

たとえば、手術中に座る丸椅子には、ブルーとピンクがあるんですけど、私は必ずピンク(赤木の赤にちなんで)を使うと決めてます。

 

 

イメトレ時間が会議とかぶる時には、迷わずイメトレを優先させるから、会議サボってしまうことも度々です・・・(ごめんなさい)

 

 

ということで、私の手術プレッシャー克服法は

「自分にできる最善を尽くす」でした。

 

おわり。

 

 

赤木一成

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科