私の母は子宮脱で、10年前から病院に通ってペッサリー交換を続けてます。
最近母は歩けなくなってきて、私が仕事を休んで、一日がかりで病院に連れていってます。 でもこれがずっと続くと思うと憂鬱です・・・ |
こんな人、多いんです。
おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
上記のような人って、実際に多いんです。
手術を受ける決断を先延ばしにして、長年ペッサリーで対処してたけど、年を取って通院が難しくなってから手術を希望する。
でもこれって、なにひとついいことが無いんです。
ペッサリーはあくまでも、一時的な対処法です。
骨盤臓器脱は、自然に治ることはありません。
ごく軽症であれば、骨盤底筋体操で経過を見ることはできます。
でもある程度脱出する骨盤臓器脱であれば、手術で根本的に治すしかありません。
ペッサリーはあくまでも、一時的な対処法なんです。
それまでの時間と費用が無駄になり、手術のリスクも高くなっていきます。
ペッサリーを選択した場合にはどうなるか?
3~4か月に一回、病院に行ってペッサリー交換をする必要があります。
骨盤臓器脱で悩む方は、60代後半~70代の方が多いです。
その年代の方にとって、普通に生活できる日々は貴重なはずです。
その貴重な日々の一部を、通院に費やすことになります。
費用だってそうです。
診療代+交通費で、一回3000~4000円かかるとしたら、年に1万円です。
10年で10万円、15年で15万円。
でも、早目に手術を受けていれば、10万円もかからずに治せてたはずです。
10年も15年もペッサリーで粘って、そこから手術を受けることになったら、それまでに要した通院時間と費用が無駄になるんです。
骨盤臓器脱を治すには、手術しか方法がありません。
一時的にペッサリーを使うのはいいけれど・・・
手術を受けたいけど、「仕事」とか「家の事情」とかで、一時的にペッサリーを使う人も多いです。
それはまったく問題ないと思います。
でも手術を受ける決心がつかなくて、単なる決断の先延ばしで、ペッサリーを選択する人もいるんです。
わたくし、これははっきりと、「賢明な判断ではない」と言わせていただきます。
単なる「決断の先延ばし」は、なにひとついいことがありません。
この場合によくある展開は、以下のようなものです。
ペッサリーで10年15年と粘って、いずれ年をとって歩くのが難しくなってくる。
自分で通院できなくなり、娘さんが仕事を休んで、1日がかりで病院に連れてくる。
家族の負担が大きくなって、娘さんも限界に達して、手術を受けるように説得されて、ようやく手術を決意する。
でもその頃には全身状態が悪くなってて、手術のリスクが高くなっている・・・
不愉快に思った方もいるかもしれませんね。
でもこんな話、実際によくあるんです。
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科