おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
オーダーメイド医療という言葉があります。
薬の効き方は人によって異なるから、遺伝子を調べて、その人の体質に合った薬を選ぶんですね。
将来は遺伝子解析が進んで、抗癌剤とかはこっちの方向に向かうんでしょうね。
でも手術の世界では、ルーチン化したワンパターンなやり方の方が、なにかと都合がいいんです。
要は、「お作法」です。
骨盤臓器脱手術ルーチン化のメリット:覚えやすいからスタッフの成長が速い。
まず、これです。
手術手順をお作法化して、いつも同じ手順でやることによって、スタッフが覚えやすくなります。
新人スタッフが、変幻自在の手術を見せられたら、いつまでたっても覚えられませんよね。
だからどんなケースであっても、できるだけ画一化されたルーチンの手順でやるんです。
たとえば、骨盤臓器脱手術で、A→B→C→Dという手順でルーチン化されたステップがあったとします。
でも患者さんの骨盤臓器脱の状態はさまざまです。
人によっては、A→C→B→Dの手順でやった方が、効率良くてやりやすそうなケースがあります。
でもそんなケースであっても、あえてルーチンのA→B→C→Dの手順でやるんです。
(もちろん臨機応変に変えようと思えば、いつでもできるんですよ)
後述する「ミスが起こりにくくなる」という理由と合わせて、スタッフの覚えやすさも重視しているんですね。
骨盤臓器脱手術ルーチン化のメリット:ミスが起こりにくくなる。
手術手順をルーチン化して、いつも同じ手順でやっていけば、いつも「同じ光景」が出現することになります。
これを徹底するとどうなるか。
もし手術中に、いつもと違う光景が出現すると、違和感を感じるんです。
これって、子宮や膀胱の状態に限りません。
鉗子の位置とか、糸の方向とか、そんなのも含めた違和感です。
「あれ、なんかいつもと違う?」という感じで気づくから、手順の抜け・漏れを未然に防げるんですね。
骨盤臓器脱手術ルーチン化のメリット:脳のリソースを他に割けるようになる。
手術手順をルーチン化して、いつも同じ手順でやっていけば、わたしもいちいち考える必要がなくなります。
いわゆる「成長して余力ができてきた」というやつです。
その分のリソースを、他の事に割けるようになるんです。
余力ができるから、手術の新しい工夫とか、そんなことを行えるようになります。
術後回診や外来診察も、可能な限りルーチン化しています。
術後回診もルーチン化
このルーチン化って、手術だけに限った話ではありません。
↑術後回診の場でも、できるだけルーチン化しています。
回診開始の時間・回る部屋の順番・使う薬や器具の種類・チェック項目、すべてルーチン化しています。
こうすることで、回診の準備ができてないとか、器具が無くていちいち取りに行くとか、そういった時間の浪費が無くなります。
外来診察もルーチン化
これは↑退院後の外来診察でも同様です。
受診の日程・出す薬・行う処置・手紙の文面・さらに「話す内容」までルーチン化を心がけています。
そうすることで、スタッフもやるべきことが明確となり、私もスタッフからいちいち聞かれることがなくなります。
「これ患者さんに言ったっけ?」というような、言い忘れも無くなります。
時間を節約でき、ミスが起こる確率も減るから、効率的かつ安全に進むんです。
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科