直腸脱の手術:遠方にお住まいの方は長目の入院を。

  • 2020年8月8日
  • 2020年10月12日
  • 直腸脱
母がこんど直腸脱の手術を受けます。

ここから車で2時間かかるところの施設に入ってるんです。

入院期間とか、長くした方がいいですか?

こんな疑問に答えます。

 

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科の赤木一成です。

当院では、年間100件ほどの直腸脱手術を行っています。

遠方から多くの方が来られるんですが、入院期間が問題になるんですよね。

 

遠方の方が直腸脱手術を受ける場合、長目の入院をおすすめしています。

病院の近くにお住いの方であれば、規定通りの入院期間(7~10日間)で、ほとんど問題ありません。

いっぽう遠方にお住まいの方では、慎重に対処する必要があります。

遠方とは、当院まで1時間以上かかる人のことをいいます。

 

直腸脱の手術って、腸をいじるわけですから、しばらく排便が落ち着きません。

便意が頻繁に起こったり、便秘になったりするので、対処が必要なんです。

ときどきあるのが、「退院してから便が出なくなった」というパターンです。

いきむのが怖くて、下剤をきちんと飲めなくなったりして、便が直腸にたまってしまうんですね。

 

近くにお住いの方であれば、病院に来てもらって、すぐ対処できるんです。

でも遠方の方だと、病院に来るのが大変です。

下手すると、往復で一日仕事になってしまいます。

 

「近所の病院に行けばいいのでは?」と思うかもしれませんが、直腸脱の手術なんて見たことない病院が大半なので、「手術を受けた病院に行ってください」と言われてしまうんです。

 

こんな理由から、遠方にお住まいの方が直腸脱手術を受ける場合、長目の入院をおすすめしています。

便通が完全に落ち着くまで、入院していただいた方が安全です。

 

直腸脱手術の専門病院は、全国的にも少ないんです。

メール問い合わせで時々あるのが、東北とかにお住いの方から、「自宅近くの病院で直腸脱手術を受けたいので、紹介してほしい」というものです。

でも直腸脱手術を手がけている病院って、全国的にも少ないんで、地元の大病院を紹介しても断られることが多いんですよね。

直腸脱手術を年間20件とか30件とかいう具合に、「日常的に」行っている病院なんて、ほとんどありません。

一番いいのは、「遠くても専門病院で直腸脱手術を受けて、長目に入院する」という方針だと考えています。

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科