おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の、赤木一成です。
今回のテーマは、「手術説明」です。
手術の前日に、必ず行っています。
骨盤臓器脱手術の説明
↑これは、骨盤臓器脱手術の説明時に用いている用紙です。
10年以上にわたって、少しずつ改良を加え続けて、現在の形になっています。
説明する内容は、大きく二つのパートに分けられます。
「①どんな方法で手術を行うか」そして、
「②起こりうる合併症とその対処法」です。
①どんな方法で手術を行うか
まず説明するのは、もちろん「手術の内容」です。
当院の骨盤臓器脱経腟手術は、ほぼ全員を、↑このやり方で行っています。
- 子宮を持ち上げて奥に固定する
- ゆるんでいる膀胱瘤(直腸瘤)を縫い縮める
大きく、この二つのステップに分けられます。
②起こりうる合併症とその対処法
次に説明するのは、「起こりうる合併症とその対処法」です。
- 再発:再発可能性は1%くらいです。
- 出血:もし出血したら止血を行います。
- 臓器損傷(重度の損傷は500人中1人以下):もし起こったら修復を行います。
- 血栓塞栓症(エコノミークラス症候群):今まで起こった人はいません。
- 排尿状態の変化異常:「内服薬」や「おしっこの管の留置期間延長」で対処します。
- 尿失禁:骨盤底筋体操で対処します。状況次第では追加手術(TOT手術)を考慮します。
- 輸血の可能性:1000人中1人くらいで、輸血が必要となる可能性があります。
上記の内容を、順番に説明していきます(詳しい解説はこちらをどうぞ)
説明は、できるだけ「簡潔」かつ「分かりやすく」行うのがポイントです。
くわしく説明しようと思えば、いくらでもできるのですが、そうすると↑患者さんが内容を忘れちゃうんですよね。
ということで経験上、手術説明は10分以内で完了するのが大事と考えています。
手術説明の内容は改良を続けています。
この説明内容は、10年かけてブラッシュアップを続けてきました。
「なるべく患者さんがわかりやすいように」
「なるべく私が楽になるように(笑)」
1文字レベルで余計な語句を極限までそぎ落とし、洗練改良を続けた結果、今ではいつも同じ内容を一字一句違わずに話せるようになっています。
究極の手術説明を目指した結果どうなったか。
以下、余談です。
何年か前の話ですけど・・・
↑ワタクシ3人の患者さん(+家族)に、たて続けに手術説明を行ったことがありました。
そしたら、↑横で手術説明を聞いてた看護師さんがですね・・・
「先生の手術説明、『お経』みたい・・・」って。
「抑揚が無い」ってわけじゃありませんよ(笑)
すべての患者さんに、一字一句たがわず同じ内容をしゃべってたから、「お経みたい」と思ったみたいです。
この言葉を聞いて、ワタクシ「これってほめ言葉かも」と思ったんですよね。
自分が目指す手術説明のスタイルって、まさに「お経」みたいなものと言えなくもないですからね。
でもまあここは、「お経みたい」と言うより、「歌の歌詞みたい」って言ってほしかった気もしますが・・・(笑)
赤木一成
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科