私、子宮脱の手術を受ける予定です。
ヒリヒリした痛みがあるんですけど、これは子宮脱が治ったらよくなりますか? 腰痛もあるんだけど、これはどうですか? |
こんな質問に答えます。
おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
毎日毎日、子宮脱や膀胱瘤の手術に明け暮れています。
子宮脱手術を受ける予定の患者さんから、「子宮脱が治ったら、痛みはよくなりますか?」と聞かれることがあります。
今回は、子宮脱と痛みの関係について、お話いたします。
子宮脱が重症化すると、痛みを感じるようになります。
子宮脱がそれほど重症でない段階では、子宮が出たり引っ込んだりしています。
その段階で痛みを感じることは、ふつうありません。
痛みを感じるようになるのは、子宮脱が重症化して、大きく脱出するようになってからです。
子宮脱が皮膚や下着とこすれて生じる痛みは、手術したらよくなります。
子宮脱が重症化すると、子宮が膣からずっと脱出したままになります。
粘液が周囲の皮膚に付着して、かぶれてヒリヒリした痛みが生じてきます。
さらにひどくなると、膣粘膜が乾燥してガビガビになってきます。
下着とこすれたり、この粘膜が膣の皮膚と接触すると、痛みが生じてくるんです。
こういう痛みは、皮膚や粘膜から生じる、「表面の痛み」です。
これは手術で子宮脱が治ったら、よくなります。
腰痛や下腹部痛は、子宮脱手術でよくなるかどうか微妙・・・
子宮脱を有する患者さんで、腰痛を訴える人がいます。
下腹部痛を訴える人もいます。
「手術で子宮脱が治ったら、腰痛(下腹部痛)もよくなるの?」という質問、時々いただきます。
でも腰痛や下腹部痛の原因が、ほんとうに子宮脱なのか。
それはよくわからないんです。
椎間板ヘルニアだったり、過敏性腸症候群だったり、こういった他の原因で痛みが起こっているかもしれないんです。
今までの経験では、子宮脱手術を受けて、「よくなった人」と「変わらない人」どっちもいました。
「よくなった人」は、子宮脱が痛みの原因だったんでしょうね。
骨盤臓器脱と腰痛の関係について調べた報告があります。
この報告では、「骨盤臓器脱は骨盤痛や腰痛の原因ではない」と結論付けています。
残念ですが、手術で子宮脱が治っても、「腰痛や下腹部痛がよくなる保証はできない」ということです。
子宮脱が治っても、腰痛などが残るようでしたら、整形外科などを受診する必要があります。
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科