骨盤臓器脱手術で追求してること・してないこと。今週の手術は7例

りっぱな犬

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。

 

週末なので、「一週間の骨盤臓器脱手術記録」を書きます。

患者さんを特定できないよう配慮して、数週間前の日常を描写しています。

 

手術を7例行いました。

この週は、子宮脱+膀胱瘤の手術を7例行いました。

 

全員予定通りに経過して、いつもの変わり映えしない日々です(笑)

 

骨盤臓器脱手術で追求してること・してないこと

手術で追求(重視)してることって、術者によってさまざまだと思います。

 

私の場合は、こうです・・・

 

手術で追求してること

 

僭越ながら、ワタクシが骨盤臓器脱手術で追求していることは、↑これです。

 

2010年から骨盤臓器脱手術に本腰を入れ、約2000例にわたって成績向上に取り組んできました。

 

近年の実績では・・・

 

私が手がけた経腟手術では、約99%で「メッシュを使わない手術」を行っています。

(たとえば今年メッシュを使ったのは、現時点で1例)

 

また約99%の方が、大きなトラブル無く経過し、大体予定通りに退院できています。

(便秘とか排尿落ち着かないみたいなマイナートラブルで、退院が1日ほど伸びる人は時々いますけどね)

 

さらに、約99%の方を、一回の手術で再発無く治すことができています。

(再発は将来的にもう少し出てくる可能性あり)

 

・・・これら3つの要素を、限りなく100%に近付けるべく、努力を続けています。

 

配慮はするけど優先順位は低い事

それなりに配慮はするけど、状況次第で「二の次」となるのが、「術後の痛み」です。

 

 

たとえば↑重度の子宮脱(上図右)

 

 

子宮脱手術では、子宮を持ち上げて、靭帯に固定する操作があります(赤矢印)

 

重度の子宮脱では、この固定を特にガッチリ行う必要があるから、その分痛みを生じやすいんですね。

このとき痛みに配慮するあまり、中途半端な固定をやってしまうと、再発の原因になってしまいます。

 

術後しばらく痛いより、再発して再手術になる方が、患者さんは困るでしょう。

だからこのような場合には、容赦なく(笑)、キッチリやることにしています。

 

痛みはいずれ必ず消失するので、勘弁いただけたらと・・・

 

手術で重視してないこと

 

逆に、↓以下のような要素は、重視していません。

 

●どんな手術でもできる。

●速くて華麗で変幻自在の手術。

●海外発の最新鋭手術。 etc・・・

 

医者って、若い頃には、こんなのを追いかけがちです。

(私も一時期、そうでした)

 

 

 

その後、膨大な数の手術を経験してきて、今では↓こんなスタンスに落ち着いています。

 

●ひとつのフィールドに徹し、とことん掘り下げていく。

●シンプル・ワンパターン・ゆっくりでいいから安全確実・面倒でも手を抜かない・納得いかなければやり直す。

●海外から持ち込まれたばかりの最新手術より、現時点で最も成績良く信頼おける手術。

 

これって、2年前の記事でも同じようなことを書いてました。

このスタンスは今でも変わっていません。

 

 

赤木一成

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科