おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
週末なので、「一週間の骨盤臓器脱手術記録」を書きます。
患者さんを特定できないよう配慮して、数週間前の日常を描写しています。
子宮脱膀胱瘤の手術を7例行いました。
この週は、子宮脱+膀胱瘤の手術を7例行いました。
「便秘」とか「皮膚のかぶれ」とかのマイナートラブルはありましたが、重大トラブルは無く、みなさんほぼ予定通りの退院です。
子宮脱膀胱瘤の手術では、手術手技による重大トラブルは、ここ数年起こっていません。
今後も絶対に起こらないとは言えませんが、最近はこんな感じで安全にやっています。
手術を受ける人は、いつコロナワクチンを打てばいい?
最近、骨盤臓器脱手術を受ける予定の方から、「コロナワクチン接種」の質問が相次いでいます。
手術受ける時期と、ワクチン接種の時期が、重なる人が多いからですね。
ということで、当院骨盤臓器脱外科の方針を公開しておくことにしました。
手術を受ける前にコロナワクチンを打つ場合
「2回目のワクチン接種」と「手術」の間に2週間あけましょう。
術前にコロナワクチンを受ける場合ついては、全国的に方針が定まりつつあります。
以下、文献からの引用です。
手術予定あるいは手術後であってもCOVID-19ワクチン接種は前向きに検討すべきと考えられます。
接種から手術まで数日の間隔、最長でも1週間空ければ問題ないと考えられています。
日本癌治療学会、日本癌学会、日本臨床腫瘍学会(3学会合同作成)
緊急でない待機手術は、ワクチン接種後すぐに行うことができる。手術日とワクチン接種を数日間(最大で 1 週間)空けると、術後の発熱などの症状の原因がワクチン接種か手術自体の結果かどうかが区別できる。
日本麻酔科学会 mRNA COVID-19ワクチン接種と手術時期について(5月18 日修正版)
術前にコロナワクチンを受ける場合には、「2回目のワクチン接種」と「手術」の間に1週間あければいいということですね。
当院コロナ対応チームの方針では、これより少し長くして、まずは「2週間」でスタートしようということになりました。
初めて経験する事態だから、まずは慎重に行こうという判断です。
以上より、「2回目のワクチン接種」と「手術」の間に2週間あければOKという方針としました。
手術を受けた後にコロナワクチンを打つ場合
退院後2週間(=術後3週間くらい)たったら、ワクチン接種OKです。
術後にコロナワクチンを受ける場合はどうでしょう。
こちらは明確な基準が無いんです。
まず最初に参照すべきは、厚生労働省のサイトですが・・・
Q:最近手術をしたばかりですが、すぐに新型コロナワクチン接種をしてよいですか。
A:受けた手術の内容や内服している薬の状況等により異なりますので、主治医にご相談ください。
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症に係る予防接種に関する相談体制の構築について
「統一した基準は示せない」ということです。
そりゃそうです。新しいワクチンだから過去の知見が無いし、手術にも大小色々ありますからね。
いろんな自治体のサイトも調べてみたんですけど、私が調べた限りでは、すべて厚生労働省と同じ記述がなされていました(例1、例2、例3)
他の病院のサイトを調べてみても、基準を明記しているところはほとんどありません。
一定規模の病院で、明らかな基準を公開しているのは、この二つくらいでした。
術後2週間あける(静岡がんセンター)
術後3週間あける(京都第二赤十字病院)
ということで、「手術後いつコロナワクチンを打っていいか」については、いまのところ各病院・各主治医の判断に任されているということです。
当院のコロナ対応チームの方針では・・・
「退院後2週間あければOKだろう」ということになっています。
骨盤臓器脱の手術では、術後5~6日目で退院する人が多いので、わかりやすく術後1週間で退院としましょうか。
だから、退院後2週間あけるということは、だいたい術後3週間あけたらワクチン接種OKということですね。
これも術前と同じく、慎重に判断しています。
以上です。
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科