おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の、赤木一成です。
今回は久しぶりに、「ペッサリー」について、お話させていただきます。
よろしければ、お付き合いください。
ペッサリーについて
↑これは、当院をはじめて受診された方全員にお渡ししている用紙です。
診察が終わったら、この用紙をお見せしながら、説明を行っていきます。
骨盤臓器脱で病院を受診した場合、対処法は以下の二通りに分かれます。
①ペッサリー(骨盤底筋体操はごく初期の人限定)
②手術
そしてペッサリーと手術、どちらの対処を希望するか、本人と相談して決めます。
ワタクシの新患では・・・
手術希望が8割、ペッサリー(たまに体操も)が2割という感じです。
(「ペッサリーが限界になって手術目的で紹介」みたいな人が多いから、こんな比率になります)
ペッサリーを使用する人が知っておくべき事
ペッサリーは、手術を受けたくない人の「とりあえず」の対処法として選択されますが、知っておくべきことが色々あります。
①ペッサリーで骨盤臓器脱が治ることはない
まず、これです。
ペッサリーはあくまでも、骨盤臓器脱と「付き合っていく」方法で、これで治るわけではありません。
いずれ手術を受けて、根本的に治す必要があります。
②ペッサリーが合わない人も多い
ペッサリーって、全員がうまくいくわけではありません。
- 入れたらすぐ脱落したとか(重度の子宮脱とか、膣口が広い人はこうなりやすい)
- 入れたら痛くなったとか、尿が出なくなったとか。
- 入れてたら、ただれがひどくなってきて、出血おりものに悩まされるようになったとか。
実はこんなの、よくあることなんです。
ペッサリーのサイズを変えたりして対処するのですが、それでもうまくいかない場合には手術をおすすめしています。
③定期的な通院が必要
ペッサリーを入れた人は、3~4か月おきの通院が必要です。
膣壁の状態をチェック(ただれてないか、めりこんでないか)して、ペッサリーを交換するわけですね。
(ただしペッサリー自己着脱ができる人は、通院頻度はもっと少なくて大丈夫です)
④一生続けるのは無理
定期的な通院が必要なんだから、年を取るとともに大変になってきます。
施設入居となったり、車椅子生活となったら、通院が大変ですよ。
いっぽう通院が大変だからと、ペッサリーを入れっぱなしにしてると・・・
こんどは出血、おりもの、異臭などに悩まされることになります。
ひどい場合にはペッサリーが膣壁にめりこんで、取り除く手術が必要となるケースもあります。
ご利用は計画的に
と、いうことで。
「手術受けたくないからペッサリー」というのはよくないということです。
「今は仕事が忙しいから、半年とか一年くらいペッサリーでつないで、手術を受ける」
こんな風に、計画的に利用するのが正解ということですね。
赤木一成
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科