骨盤臓器脱手術と尿失禁手術、別々にやるか同時にやるか

 

わたし、膀胱瘤の手術を受ける予定です。

骨盤臓器脱の手術を受けると、尿が漏れやすくなる人がいるって聞きました。

膀胱瘤の手術と同時に、尿失禁の手術も受けておいたほうがいいですか?

こんな疑問に答えます。

 

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。

 

骨盤臓器脱(子宮脱や膀胱瘤)の手術を受けると、ときに尿が漏れやすくなる人がいます。

この場合の対処法について、お話いたします。

 

もともと尿道の締まりがゆるい人が、骨盤臓器脱の手術を受けると、尿が漏れやすくなることがあります。

 

 

↑骨盤臓器脱の手術を受けると、尿が漏れやすくなる人がいます。

これは手術の合併症ではなく、「もともと尿道の締まりがゆるかった」ということです。

 

まず骨盤底筋体操で対処し、改善しない場合には尿失禁手術を考慮します。

 

このような場合、まずは↑骨盤底筋体操で対処を開始します。

多くの人は、これで尿漏れが改善してきます。

 

 

 

骨盤底筋体操でも、尿漏れが改善しない場合には、追加手術を考慮します。

 

ゆるい尿道を、テープで支えてあげる手術です。TOT手術と言います。

 

このTOT手術が必要となる確率は、骨盤臓器脱手術を受けた患者さんのうち、3~4%くらいです。

 

骨盤臓器脱手術と尿失禁の手術は、「別々にやる」派と、「同時にやる」派があります。

 

骨盤臓器脱手術と尿失禁の手術って、「別々にやる」のと「同時にやる」ので、二つの流派があります。

 

「骨盤臓器脱の手術をやって、尿が漏れる人だけ尿失禁手術を追加したほうがいい」という「別々派」と・・・

「全員同時にやっておけば、追加手術が不要で、ぜんぶ一度で済むからいいだろう」という「同時派」があるんです。

 

私は「別々派」です。

骨盤臓器脱の手術だけでも、術後の排尿状態がどう変わるか、予想が難しいからです。

これに加えて、尿失禁の手術までやってしまうと、さらに排尿状態の予測が難しくなるんですよね。

 

このへんは、術者の経験とか考え方とかで、意見が異なっています。

わたしは「確実性」をとって、「別々派」を貫いています。

同時にやるのと比べると、手間が増える可能性はあるけど、こっちの方がいいと考えています。

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科