おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
今日は大晦日なので、2021年の総括をいたします。
年末で時間がとれず、2021年の手術成績をまとめるのは間に合いませんでした・・・
2021年の手術成績については、次回の投稿で公開しようと思います。
ブログ更新の振り返り
2020年はコロナの影響で、しばらく受診者数が激減してました。
いっぽう今年は打って変わって、骨盤臓器脱の新患が急増しました。おそらく過去最多だと思います。
2020年はブログを毎日更新してたんですけど、今年は受診者数も手術数もずいぶん増えたので、毎日更新するのは不可能と思われました。
ブログ更新で本業に支障が出たら本末転倒なので、今年は「投稿は週1回・1記事の作成時間は1時間」と決めて始めたところ、一年間継続することができました。
これくらいのペースが自分には合ってるみたいなので、2022年も今年と同じやり方で、記事更新を淡々と続けていく予定です。
これまで定期的に読んでくださった方、まことにありがとうございました。
そしてこれからも、よろしくお願い申し上げます。
手術の振り返り
骨盤臓器脱手術と、直腸脱手術に分けて、振り返りを行ってみようと思います。
当院の2021年の手術実績は、ざっと数えた限り、骨盤臓器脱が300例ちょっと、直腸脱が120例くらいでした。
手術件数は毎年右肩上がりが続いていますが、今年もさらに過去最高を更新したようです。
ただ、手術枠はすでにパンパンになりつつあるので、この辺が上限ではないかと・・・
骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤)手術の振り返り
当院が骨盤臓器脱手術に本腰を入れたのは、2010年です。
当初に「克服すべき課題」を8つほど設定しまして、解決に取り組むことにしました。
現在までに丸11年が経過しましたが、この間に少しずつ技術が進化してゆき、2019年頃から現在のやり方に落ち着いています。
この間にほぼクリアできた「克服すべき課題」は、以下の通りです。
メッシュ依存から離脱する
術中臓器損傷をなくす
術中出血をなくす
再発をなくす
直腸脱合併例では、子宮脱と直腸脱を同時に治す
重度子宮脱を経腟手術で再発無く治す
穿刺(靭帯に糸を通す作業)の数を減らす
処理能力(手術時間)を向上させる
人体相手の作業なので、100%達成は非常に困難でしょうが、いずれも限りなく100%に近づいてきています。
ということで、技術の進化は、一定のプラトーに達したと思われます。
進化が行き着くところまでいったら、次は技術を深化させていきましょう。
そのためには、「考え抜きつつ、同じことをひたすら繰り返す」のが最善と心得ています。
2022年もこれまで通りやり続け、実績をコンスタントに積み上げていこうと思います。
直腸脱手術の振り返り
いっぽう直腸脱手術は、辻仲病院(我孫子市の旧本院)開院以来30年にわたって取り組みを続けていますが、いまだ「道半ば」の観があります。
大きな課題は、「出血」と「再発」です。
現在でもときどき術後出血が生じ、一定頻度で再発もあるんです。
・・・これはある程度、仕方ない側面もあります。
直腸粘膜は血管が豊富で、さらに便が通って刺激を受けるから、どうしても一定割合で出血することがあるんです。
(いっぽう膣側から出血することは少ない)
また直腸脱の患者さんは80代90代の高齢者が大半で、全身状態が良くないケースが多いため、常に最善の術式を選択できるとは限らないんですね。
(いっぽう子宮脱膀胱瘤の患者さんは、60代70代の元気な人が大半)
直腸脱手術で、出血を限りなく0に近づけ、ほぼ全員を一回の手術で治し、それを年間50例100例とやり続けていく。
現時点でこれを達成している施設は、全国どこにもないと思われます。
これからも熟考・改良を重ねつつ、さらなる成績向上への努力を続けていく所存です。
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科