骨盤臓器脱の術前検査:安全な手術のために、必要最小限の検査を行います。

 

わたし、こんど膀胱瘤の手術を受ける予定です。

入院前に、いろんな検査があると聞きました。

どんな検査をするんですか? それって必要なの?

こんな疑問に答えます。

 

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。

 

当院では毎日のように、骨盤臓器脱手術を行っております。

ということは、毎日のように術前検査も行われているということです。

 

でも検査の種類ってたくさんあるので、なぜ必要なのか、疑問に思われるかもしれませんね。

この術前検査の種類と、その必要性について、お話いたします。

 

まず「麻酔と手術を安全にできるかどうか」について、検査します。

 

まず、①血液検査、②心電図、③胸部レントゲン、④肺機能検査、⑤下肢静脈瘤診察を行います。

 

これは、どの領域の手術であっても必ず行われる検査で、いずれも短時間で終わります。

これらの検査でもし異常が見つかったら、追加検査を行います。

 

血液検査(いろいろな項目のチェック)

貧血、白血球数、血小板数、凝固、肝臓、腎臓、栄養状態、感染症など、血液検査でいろんな異常が分かります。

 

心電図(心臓のチェック)

不整脈や虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)のチェックです。

 

 心臓超音波検査(心臓の追加検査)

心電図で異常が見つかった方や、もともと心疾患がある方に、追加で行うことがあります。

心不全や心臓弁異常をチェックします。

 

胸部レントゲン(肺のチェック)

肺の病気や心肥大をチェックします。

 

 胸部CT検査(肺の追加検査)

肺に異常が疑われた場合に、追加で行うことがあります。

 

肺機能検査(呼吸機能のチェック)

呼吸機能のチェックです。

 

 血液ガス検査(呼吸機能の追加検査)

肺機能検査で異常が見つかった場合に、追加で行うことがあります。

 

下肢静脈瘤診察(下肢血栓のチェック)

肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)の予防です。

 

 下肢超音波検査(下肢静脈瘤の追加検査)

下肢静脈瘤がある場合に、静脈瘤の中に血栓が無いかどうか確認します。

 

次に「手術する部位の近くに悪い病気(がん)がないかどうか」も調べます。

 

骨盤臓器脱の手術では、子宮・卵巣・直腸・膀胱などの臓器がかかわってきます。

 

これらの臓器に悪い病気(がん)が無いことを、確認しておく必要があります。

 

MRI検査(下腹部内臓のチェック)

下腹部内臓のチェックを行います。

子宮・膀胱・卵巣・直腸などの異常を、全体的に確認するんです。

 

骨盤臓器脱の脱出状況も把握できるので、手術戦略を立てる上での重要な情報が得られます。

 

体内に金属が入っている人や、閉所恐怖症の人では、MRIのかわりにCT検査を行うこともあります。

 

子宮細胞診(子宮がんのチェック)

ごくまれに、子宮頸がんが見つかることがあります。

 

定期的に子宮がん検診を受けている人では、省略することもあります。

 

大腸内視鏡検査(大腸がんやポリープのチェック)

大腸の途中までしか見ないので、下剤を大量に飲む必要はありません。

 

大腸ポリープはときどき見つかります。

まれに大腸がんが見つかることもあります。

 

膀胱鏡検査(膀胱がんや膀胱損傷のチェック)

これは手術中に行っています。

 

今まで一人だけ、膀胱がんが見つかった人がいました。

 

わたしと麻酔科ドクターでダブルチェックを行って、安全にやっています。

 

以上、骨盤臓器脱手術で行われる検査一覧でした。

たくさんあるように見えますが、効率よくやるので、そんなに時間はかかりません。

 

以上の検査を行って、私と麻酔科の先生でダブルチェックを行います。

そうやって安全性を確認したうえで、手術を行うことになります。

 

これらのチェックを行うことで、重大トラブルは皆無といっていいくらい、安全に行えるようになります。

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科