術者を続けていくのも大変:骨盤臓器脱手術を生業としています②

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科の赤木一成です。

 

前回は、数々のハードルを乗り越えて、一人前の「独立した術者」になるだけでも大変ということをお話しいたしました。

 

今回は、「独立した術者を続けていくのも大変」というお話をさせていただきます。

 

頑張って「独立した術者」になれても、50歳60歳までやり続けるには、まだまだ超えないといけないハードルがあるんです。

 

プレッシャーに負けて心折れる

 

まず「プレッシャーに負けて心折れる」から。

 

これって、修業中の期間ではなく、ある程度一人前になった時期に遭遇する問題のような気がします。

 

なぜなら、若手の修業期間の間は、上司が一緒に手術に入ってくれるからです。

このときの手術のプレッシャーや責任は、上司が引き受けてくれてるんですね。

 

当たり前ですが、若手の外科医って、手術は必ず上司と行います。

そして手術してるときは、「こんなのいつでも一人でできるのに」と思っているものです。

 

そしていざ、独立した術者になって、自分が指揮を執る立場になると、まったく違う景色が見えてきます。

 

上司と一緒の時は、「こんなのいつでも一人でできるのに」と思っていた手術が・・・

いざ自分がトップでやってみると、「ほんとにこれでいいんだろうか?」というふうに、迷いとプレッシャーとの戦いになるんですね。

 

そして万一トラブルが起こったら、当たり前だけど、自分が全責任を負うことになるんです。

 

ここで心折れるパターンもあるようです。

中堅外科医のハードルであります。

 

健康体力面の問題

 

そしてこのハードルも乗り越えて、50歳60歳というベテランの年齢になると、こんどは健康体力面の問題がメインとなってきます。

 

目が見えにくくなるとか、体力が続かなくなるとか、そういう問題ですね。

 

これは外科医に限らず、どんな職人系の仕事でも同じことでしょう。

 

誰だって年齢を重ねるとともに衰えて、腕が落ちてくるとか、時代についていけなくなるとか、そうなってくる時期が来るのでしょう。

 

これを自覚して身を引いて、教育とか経営とかに身を転じていくことになるようです。

 

他人にポジションを奪われる

 

もう一つ、むかし私が見たことあるのは、他人にポジションを奪われるパターンです。

 

典型的なのは、他の医局に乗っ取られるケースですね。

 

これは他のパターンと違って、まだマシと思われます。

なぜなら、ポジションを奪われても、よそに移ればいいんですから。

 

本当に第一線の力量があれば、どこかで腕を振るう場所があるはずです。

 

大ベテランの術者たちに敬礼!

 

50歳60歳と術者を続けてきている外科医は、これらのハードルを乗り越えて生き残ってきた猛者ということです。

 

それは生半可でできることではありません。

それこそ「敬礼!」という感じです。

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科