おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科の赤木一成です。
前回は、数々のハードルを乗り越えて、一人前の「独立した術者」になるだけでも大変ということをお話しいたしました。
今回は、「独立した術者を続けていくのも大変」というお話をさせていただきます。
頑張って「独立した術者」になれても、50歳60歳までやり続けるには、まだまだ超えないといけないハードルがあるんです。
プレッシャーに負けて心折れる
まず「プレッシャーに負けて心折れる」から。
これって、修業中の期間ではなく、ある程度一人前になった時期に遭遇する問題のような気がします。
なぜなら、若手の修業期間の間は、上司が一緒に手術に入ってくれるからです。
このときの手術のプレッシャーや責任は、上司が引き受けてくれてるんですね。
当たり前ですが、若手の外科医って、手術は必ず上司と行います。
そして手術してるときは、「こんなのいつでも一人でできるのに」と思っているものです。
そしていざ、独立した術者になって、自分が指揮を執る立場になると、まったく違う景色が見えてきます。
上司と一緒の時は、「こんなのいつでも一人でできるのに」と思っていた手術が・・・
いざ自分がトップでやってみると、「ほんとにこれでいいんだろうか?」というふうに、迷いとプレッシャーとの戦いになるんですね。
そして万一トラブルが起こったら、当たり前だけど、自分が全責任を負うことになるんです。
ここで心折れるパターンもあるようです。
中堅外科医のハードルであります。
健康体力面の問題
そしてこのハードルも乗り越えて、50歳60歳というベテランの年齢になると、こんどは健康体力面の問題がメインとなってきます。
目が見えにくくなるとか、体力が続かなくなるとか、そういう問題ですね。
これは外科医に限らず、どんな職人系の仕事でも同じことでしょう。
誰だって年齢を重ねるとともに衰えて、腕が落ちてくるとか、時代についていけなくなるとか、そうなってくる時期が来るのでしょう。
これを自覚して身を引いて、教育とか経営とかに身を転じていくことになるようです。
他人にポジションを奪われる
もう一つ、むかし私が見たことあるのは、他人にポジションを奪われるパターンです。
典型的なのは、他の医局に乗っ取られるケースですね。
これは他のパターンと違って、まだマシと思われます。
なぜなら、ポジションを奪われても、よそに移ればいいんですから。
本当に第一線の力量があれば、どこかで腕を振るう場所があるはずです。
大ベテランの術者たちに敬礼!
50歳60歳と術者を続けてきている外科医は、これらのハードルを乗り越えて生き残ってきた猛者ということです。
それは生半可でできることではありません。
それこそ「敬礼!」という感じです。
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科