骨盤臓器脱手術時間のお話。14年間改良を続けた結果。

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の、赤木一成です。

 

今回はひさしぶりに、「手術時間」のお話をいたします。

よろしければ、お付き合いください。

 

洗練とブレイクスルー

 

 

これは、過去にアップした、手術時間に関するグラフです。

 

同じ手技を延々と繰り返すことで、手技が洗練されていって、手術時間が少しずつ短縮する。

数年に一度、ブレイクスルー(技術革新)を迎えて、手術時間がガクンと短縮する。

 

約14年間にわたり、これを繰り返して、手術時間は短くなってきました。

初期の骨盤臓器脱手術は、2時間半くらいかかってたので、1日1件を週2日やるのが限界だったけど・・・

今は1日2件・週3~4日の手術が標準となってます。

 

 

 

そして昨年(2023年)にも、ひとつのブレイクスルーが訪れました。

その結果、手術時間がまた「カクン」と短くなって、現在に至ります。

 

まあ昨年のブレイクスルーで得られたご利益は、「手術時間短縮」よりも、「安全性向上」ですね。

 

だから短くなったと言っても、短縮時間は3分とかその程度です。

だから、「ガクン」じゃなくて、「カクン」と表現してるという(笑)

 

 

と、いうことで。

去年までは、手術時間を聞かれたら

「1時間ちょっと」と申し上げてたんですが・・・

 

最近は

「1時間くらい」と、言うようにしてます(笑)

(たぶんスタッフ、だれも気付いてないと思うけど)

 

予定時間通りに終わりやすいケースと、長くなりやすいケース。

 

不利な条件の無い、標準的なケースであれば、ほぼ全員が1時間程度で完了します。

(これに麻酔とか準備とか申し送り移動とかの時間を加えたら、大体2時間)

 

 

 

逆に、不利な条件が多くなるほど、手術時間は長くなります。

 

不利な条件って、過去にも書いたことありますが・・・

 

  • 重度の脱出
  • 過去に婦人科領域の手術を受けている
  • ペッサリーを何年も使ってる
  • 肥満

 

このあたりです。

不利な条件がひとつ増えるごとに、手術時間がプラス5~10分、という感じですかね。

 

手術終了時間を予測する

 

以下、余談です。

 

手術を開始するときに、医師とスタッフ全員で「タイムアウト」という儀式を行います。

(全国どこの病院でも行われてます)

 

このとき、患者さんの氏名とか、病名とか、術式とか、手術予想時間とかをみんなで確認するんですが

このときワタクシ、標準的なケースのときは・・・

 

「手術終了予想時刻は10時34分です(キリッ)」

 

みたいな感じで1分刻みの宣言をして、場を和ませたりしてます(笑)

 

 

 

そして実際のところ・・・

標準的な症例であれば、ほとんど予想時刻のプラスマイナス5分以内におさまるようになってます。

 

「それって意味あるの?」と言われると

特に無いのですが(汗)

 

 

赤木一成

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科