わたし3時に骨盤臓器脱外来の予約してたんですけど、診察してくれたのが3時半でした。
どうして30分も待たせるんですか? レストラン予約でこんなに待たされたら、大問題ですよ?
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↑これって、実際にあったクレームです・・・
おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
今回は「待ち時間」の話です。
できるだけお待たせしないよう努力してるんですけど、なかなか思うようにいかないこともあるんです。
待ち時間を短くする最善の方法は、やっぱり予約制です。
でも医療の性質上、必ず予約時間通りに診察するのは至難の業なんです。
レストランの予約のようにはいかないんですね。
どうかご理解くださいませ・・・
まず結論から。予約制の病院でも、少々お待たせする可能性があります。
まず結論から。
予約制の病院でも、少々お待たせする可能性があります。
でもこれだけじゃ納得できないですよね。
べつに弁解するわけじゃないんです。
事情を分かってもらえれば、広い心でお許しいただけるんじゃないかと考えました。
予約制じゃない病院だと、3時間待ちとかになるかも・・・
予約制の病院で、少しでも待たされるのが嫌なら、予約制じゃない病院に行くしかないけれど・・・
それだと待ち時間が、予約制より何倍も長くなる可能性が高いです。
たとえば、とある病院の大腸肛門科外来の話なんですけど、
予約制じゃない病院って、患者さんが一気に来院して、待合室がパンク状態になることが多いんです。
とくに月曜午前とか、土曜日とか、患者さんが集中しやすい時間帯はそうなります。
(逆に水曜午後とかは、スカスカになってたりするんですけど)
こんな時は、3時間くらいお待たせすることもザラです。
患者さんが100人近く待ってるのに、医師は少人数で、必死で対応してます・・・
予約制でも「突発的な事態」が起こったら、どうしても対応が必要になります。
予約制であれば、こんなにひどくお待たせすることはありません。
でも途中で、突発的な事態が起こったら、どうしても待ち時間が発生することがあるんです。
「突発的な事態」って、以下のようなものがあります。
病棟で急変が起こった
外来診療を担当している医師って、外来だけをやっているわけではありません。
病棟では、何人もの入院患者さんを担当しています。
その患者さんが、もし急変したら、放っておくわけにはいきません。
「出血」だったり、「急な胸痛」だったり。
この場合、外来を離れて、病棟に駆けつけて対処するしかないんです。
その場合はご容赦くださいませ・・・
手間のかかる患者さんが受診してきた
一部の患者さんでは、とっても手間がかかることがあるんです。たとえば・・・
高度肥満の「子宮脱+直腸脱」の女性で、重度の糖尿病があって、狭心症があって、抗血栓薬(血液サラサラの薬)を飲んでいる。
「苦しいから一刻も早く手術してほしい」と強く訴える。
(こんなケース、けっこうあるんです)
まず、苦痛が強いんだから、手術を3か月も待たせるわけにはいきません(手術待ちはだいたい3か月なんです)
早く手術してあげないといけないから、手術室の看護師長に交渉して、なんとか手術枠を見つけてもらいます。
そして狭心症があるから、かかりつけの循環器科に、手術しても問題ないか問い合わせの手紙を書く。
抗血栓薬を飲んでいるから、これは手術前に止める必要があります。
この薬を止めても問題ないか、こちらも問い合わせの手紙を書かなければなりません。
さらに重度の糖尿病があるから、当院の内科外来にコンサルトして、糖尿の管理も依頼する必要がある。
ここまでやってようやく、入院予約と手術予約の手続きに移る・・・
これらの対処をやっていると、30分くらいかかってしまうんです。
事前に糖尿とか狭心症とか分かってればいいけど、それは実際に受診してこないと分かりません。
だから、「来てしまったら全力で対応する」しかないんですね。
じゃあ予約患者数を少なくすればいいのでは? →これだと待ち日数が長くなる。
「だったら1日当たりの予約患者数を少なくして、余裕を持たせればいいのでは?」と思われる方もいるかもしれませんね。
でもこれをやってしまうと、こんどは予約して診察を受けるまでの待ち日数が、どんどん長くなっていきます。
つらいから早く診てもらいたいのに、「2か月先までいっぱいです」とか言われたら、これも困りますよね。
人気レストランなら2か月でも待てるけど、病気だとそうはいきません。
だれだってそんなに待たされるのは困るから、なるべく待ち日数を少なくなるように、予約を詰め込まざるを得ません。
じゃあ医者を増やせばいいのでは? →実はこれも難しい・・・
画像引用:厚生労働省
「じゃあ医者を増やせばいいのでは?」というご意見もあるかもしれませんね。
↑これは、OECD(先進国のようなものです)の、人口1000人あたりの医師数です。
日本の医師数は相当少ないことが分かります。
画像引用:厚生労働省
そして↑これは、都道府県別の人口10万人あたりの医師数です。
千葉県は、埼玉・茨城に続いて、全国ワースト3位です。
そして↑これが、千葉県内の病院勤務医師数の「偏差値」です。
偏差値が高いと医師数が多くて、低いと医師数が少ないということです。
全国平均は、なぜか53です(平均だから50かなと思ったけど、そうじゃないんですね・・・)
千葉県は44で相当低いですけど、柏市のある東葛北部医療圏は42で、千葉県でも下位に位置しています。
画像引用:BLOGOS
こんなのもあります。
首都圏「医師不足」危機レベル。
柏市は最も医師不足が顕著な、ランクVでした・・・
辻仲病院は、
世界的に医師数の少ない日本で、
さらに日本でも医師数の少ない千葉県で、
さらに千葉県でも医師数の少ない東葛北部医療圏(柏市)に位置しています。
要は、医者も足りてないってことです(笑)
少ない人数で、みんな一生懸命やってます・・・
やっぱり予約制が最善だけど、それでもお待たせする可能性はあります。どうかご容赦を。
ということで、「医療機関の予約制は、ある程度お待たせする可能性はあるけれど、現時点ではこれ以上いい方法がない」ということなんです。
なるべくお待たせしないよう、努力していますが・・・
待たされた方、どうかご容赦くださいませ。
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科