骨盤臓器脱外科医師の、赤木一成です。
今回は手術体位の話をします。
年間200人以上の骨盤臓器脱手術を行ってるんですけど、年に10~20人ほど、人工股関節が入ってる人がいます(けっこう多いんです)
今日はこのような場合の対処についてお話いたします。
骨盤臓器脱の手術は、お産の時と同じ体位
MIZUHO社様のサイトより引用
骨盤臓器脱の経腟手術は、載石位(さいせきい)という体位で行います。
これって、お産の時の体位とおなじです。
↑写真のような器具を使って、両足を挙上するんですね。
と、いうことで・・・
外来診察のときに、↑婦人科診察台にのって診察を行うんですけど、この診察台にのれる人なら手術可能ということですね。
体位をとる時に気を付けていること
体位をとる時には、いくつかの注意事項があります。
まず言うまでもないことだけど、固定が不十分だと足が落下して、事故を起こしてしまいます。
器械がきちんと固定されていることを確認するのは当然ですね。
次に、器具の赤いところに下腿をきれいに乗せないと、神経や血管が圧迫されて、麻痺の原因になります。
だからここも必ず確認しています。
このような注意点を守ることで、体位を取るときにトラブルが起こったことはありません。
人工股関節が入ってても、問題なく手術できてます。
「過去に股関節手術を受けた人」の対処について。
この場合、麻酔かけてから足を挙上すると、股関節を痛める可能性があります。
だから麻酔前の意識がある状態で、痛くないことを確認しながら、慎重に足を挙上していく必要があります。
通常は、両足とも問題なく挙上できるんですが・・・
たまーに、脚が上手く挙上できない人がいます。
たとえば、↑片方の股関節が曲がらない人の場合は、片足だけ挙上して手術します。
過去に3人ほど経験してますが、みなさん問題なく手術できました。
あと、↑両方の膝(ヒザ)関節が曲がらない人もいました。
この場合、両膝を伸ばした状態で、両足を挙上して手術します。
一人だけ経験あるんですけど、この場合も問題なく手術できました。
↑両方の股関節が曲がらない人の場合には・・・
会陰側(股間側から)の手術が不可能なので、この場合「おなか側(腹腔鏡手術)」から手術するしかないんでしょうね。
(いままで経験したことないですが)
以上、体位をとるだけでも、いろいろ配慮しているというお話でした。
赤木一成 骨盤臓器脱外科医師