おはようございます。
骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
今回は、骨盤臓器脱手術に関する「痛み」について、お話させていただきます。
よろしければ、お付き合いください。
目次
手術中は痛くありません。
「手術中は痛いんですか?」という質問、たまーにいただきます。
いえいえ、大丈夫ですよ。
手術中は全身麻酔で寝ているので、痛みを感じることはありません。
麻酔から覚めたら、手術が終わっているということですね。
術後は誰でも痛みがあるけど、日を追うごとに軽快する
「術後は痛いの?」
この質問は多いです。
医師に、「痛みは心配ないですよ」と言ってほしい気持ち、よくわかります。
でもワタクシ、正直者?なので・・・
「手術ですから、誰でも多少の痛みはあります」と、申し上げてます。
そしてもう一言
「痛みは日を追うごとに軽快してゆき、いずれ必ず消失します」
と、付け加えるのも忘れません(笑)
まあ、手術である以上、痛みがゼロというわけにはいきません。
これは子宮脱の手術に限らず、どの領域の手術でも同じことです。
手術当日をクリアすればあとは大丈夫
患者さんが痛みを訴えるのは、だいたい「手術当日夕方~翌朝」です。
この時期は、どんな手術でも多少の痛みがあるのは当然なので・・・
遠慮なく痛み止めを希望してくださいませ。
この痛み、日を追うごとに軽快し・・・
退院する頃には、痛みを訴える人は少なくなります。
痛みが理由で、退院延期となる方は、ほとんどいらっしゃいません。
100人中1人いるかいないか、という感じですかね。
そして退院後初回(3週間後)の診察時には・・・
ときどき、軽い痛みとか違和感とか訴える人がいる。
そんな感じです。
膣の傷は痛くない。痛いのはたいてい「皮膚の小さい傷」
①膣壁は痛みを感じない場所です。
子宮脱の経腟手術では、膣壁を切開して手術を行います。
そして手術を終えたら、ここを縫合します(赤矢印)。
この膣壁は痛みを感じない場所なので、ここが原因で痛みを感じることはほとんどありません。
②肛門近くの皮膚にできる小さな傷は、少々痛みます。
痛みを感じやすいのは、肛門近くの皮膚にできる5㎜くらいの傷です。
小さい傷なんですが、みなさんここに意識が集中するようで、痛みを訴える方がいらっしゃいます。
③もう一つ、腰の痛みを感じることもあります。
手術の翌朝に、「腰が痛い」と言う人がいらっしゃいます。
これは手術中の体位(お産の体位)のまま、1~1.5時間くらい寝ているため、腰が圧迫されるのが原因です。
手術が終わって部屋に帰ってきてからも、一晩あおむけで寝ていることになるので、腰に負担がかかるのです。
重症の脱出だと術後に痛がりやすい
「術後に痛がるのはどんな人?」
これって、興味ある方、いらっしゃるかもしれませんね。
まず確実に言えるのは・・・
「↑重度の子宮脱だと、術後の痛みが強い傾向にある」ということですね。
大きく脱出していると、その分しっかり固定する必要があるから、痛みがその分強くなるわけです。
痛みに配慮するあまり、ここを手加減したら、再発の原因となります。
ということでワタクシ、重度の子宮脱のときは・・・
容赦なく、ガッチリ固定するようにしております(笑)
術後しばらく痛いより、再発してもう一回手術になる方が、患者さんは困るでしょうからね。
痛みに最も影響する因子は、本人のキャラ(?)
以下、 「病棟あるある」です。
ワタクシ通常、1日2件の骨盤臓器脱手術を行っておりますが・・・
二人とも同じような年齢体格で、同じような重症度の骨盤臓器脱で、まったく同じ手術をしても・・・
一人は痛みを訴えてて、もう一人はけろっとしてる。
実はこんなの、しょっちゅうなんです。
だから、術後の痛みって・・・
「患者さんの敏感さ・キャラクター」が、もっとも大きく影響してるんだろうと思ってます。
痛がりの人、ちょっと「イラッ」とされたかもしれませんね。
失礼しました・・・
赤木一成
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科