子宮脱や膀胱瘤などの骨盤臓器脱で悩んでいる方は大変多い。
お産を経験した方の半数近くが骨盤臓器脱を有していると考えられており、一説には国内だけで数百万人の方が悩んでいると言われている。
ただしこの病気はあまり知られておらず、羞恥心もあるため、実際に病院を受診して治療を受けているのは一部の人に限られている。
子宮脱・膀胱瘤の頻度:解説
日本全国でどれくらいの方が、子宮脱や膀胱瘤などの骨盤臓器脱で悩んでいるのでしょうか?
現在わが国には骨盤臓器脱に関する統計がない上に、この病気は一人でひそかに悩んでいる方も多いという関係上、正確な数字を把握するのは困難なのが実情です。
だから欧米の報告を参考にして、わが国の骨盤臓器脱で悩む方の人数を推測してみましょう。
たとえば欧米の統計によると、出産を経験した女性の3割に骨盤臓器脱があるという報告があります。
また別の統計では、女性の10%以上が生涯に骨盤臓器脱の手術を受けているという報告もあります。
これらをわが国にあてはめて考えてみると、やはりどう少なく見積もっても数百万人の方が骨盤臓器脱を有していると考えられます。
このうち実際に医療機関を受診し、臓器脱治療の恩恵を受けている方はほんの一部ということになるわけです。
ですから、この骨盤臓器脱のことが広く知られるようになり、実際に病院を受診する方が増えてくれば、骨盤臓器脱の悩みから解放される方がもっと多くなってくると考えられます。
作成:赤木一成(辻仲病院柏の葉 医師)