骨盤臓器脱外科医師の、赤木一成です。
今回は、「骨盤臓器脱術後に使う下剤」について、お話させていただきます。
よろしければ、お付き合いください。
目次
入院中に用いる下剤はパターンが決まっている
骨盤臓器脱の術後数日間は、多くの人が便秘になります。
- 入院して生活環境が変わること
- 術後しばらくの間、あんまり歩けないこと
このへんが理由です。
①酸化マグネシウム:まず全員に処方する
だから入院中は、全員に↓酸化マグネシウムという下剤を処方してます。
これは効きが穏やかで、習慣性も無いので、まず最初に選択される薬です。
②アローゼン:便秘の人に追加する
これでも便秘が改善しない場合には・・・
↓つぎはアローゼンという、刺激性の下剤を追加処方します。
酸化マグネシウムと比べると、こちらの方が効果が強いです。
ただし習慣性があるので、延々と続けるのはよくありません。
期間限定で使用する薬です。
③炭酸ガスの坐薬:便が直腸まで来てる人に使う
画像引用:ゼリア新薬
便が直腸まで来て、詰まった状態になって、出にくくなっている人がいます。
このような場合には、この坐薬(われわれは「レシカル」と呼んでます)を使います。
この坐薬を使って、上記の「刺激性下剤」を追加したら、たいてい便秘は解決します。
④それでも便秘する人は・・・食物繊維のサプリメント
画像引用:大塚製薬
これでも便秘が解消しない人が、たまーにいます。
大変ですね。
このような場合には、食物繊維のサプリメント(健康食品)が8階売店に売っているので、それを買って飲んでもらうようにしています。
ここまでやれば、骨盤臓器脱手術を受ける患者さんの便秘は、全員解決しています。
退院後に用いる下剤
退院時の下剤は、自分で減らしていってOK
退院するときには、「退院処方」として、さきほどの酸化マグネシウム(たまにアローゼンも)が処方されます。
この下剤は、便通の状態を見ながら、少しずつ減らしていって構いません。
便秘は退院後に徐々に改善してゆき、入院前の状態に戻ります。
退院後の外来受診
退院後1回目の受診は、退院してから3週間後です。
診察を行ってから、患者さんの希望に応じて、下剤を追加処方します。
でも退院したら、だいたい便秘は改善してくるので・・・
この時期には、「もう下剤は要らない」という人が多いですね。
私の長年の疑問
以下、余談です。
このとき、個人的に気になってることがあってですね・・・
酸化マグネシウムは1日6錠服用(3錠の人もいる)
もし3か月(90日)後の2回目受診まで処方したら540錠。
これが1日10人ちかく出る日もありまして
あとは消化器内科とか肛門科も、酸化マグネシウムをたくさん処方するだろうから・・・
「辻仲病院の門前薬局は、在庫大丈夫なんやろか?」みたいな余計な心配してる、今日この頃です(笑)
(下手したら一日10000錠とか出てそう)
赤木一成 骨盤臓器脱外科医師