わたし、子宮脱の手術を受ける予定です。
足の診察と超音波検査を受けました。 これって何のため? |
こんな疑問に答えます。
おはようございます。
辻仲病院柏の葉 骨盤臓器脱外科の赤木一成です。
今日は、「エコノミークラス症候群」のお話をします。
骨盤臓器脱手術と関係ないように思うかもしれないけど、これってあらゆる領域の手術にかかわってくる重大な病気なんです。
エコノミークラス症候群ってなんだ?
引用:バイエル薬品株式会社
「エコノミークラス症候群」って、みなさん聞いたことがあると思います。
下肢の静脈にできた血栓(深部静脈血栓)が、肺の血管に詰まって起こります。
これを「肺塞栓症」と言います。
術後の突然死の原因になる、怖い病気です。
エコノミークラス症候群を予防するために、必ず行っていること。
引用:バイエル薬品株式会社
↑これは、「Wellsスコア」といいます。
骨盤臓器脱手術を受ける方全員に、行っています。
このスコアを計算することによって、深部静脈血栓を生じるリスクを評価できるんです。
これで「リスクが高い」と評価された場合には、次の検査を行います。
血液検査(「D-ダイマー」といいます)と、下肢超音波検査を行って、血栓の有無を評価します。
ここまでやって、血栓が無ければ、予定通り骨盤臓器脱手術に進みます。
もし血栓が見つかれば、手術は延期です。
まず血管外科を紹介して、血栓を治療してもらうのが優先です。
もし肺塞栓が起こったらどうするか?
術後に「胸痛」とか「息苦しさ」とかが起こったら要注意です。
めったにあることではないんですけど、もし重大な病気だったら、命にかかわります。
この場合、肺塞栓に限らず、ほかにも狭心症・心筋梗塞・気胸など、いろんな病気の可能性を考えなければなりません。
まずは即座に行える、心電図検査を行います。これで狭心症や心筋梗塞の有無が分かります。
さらに必要に応じて、胸部のCT検査を行います。
この検査で、肺梗塞とか、気胸の有無が分かります。
さいわい、私が手術した骨盤臓器脱の患者さんで、この肺塞栓が起こった人はいないんですけどね。
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科