おはようございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
今日は、骨盤臓器脱手術を受ける患者さんにおける、肥満の話です。
肥満の人は、骨盤臓器脱手術を受けるときに、色々不利になります。
骨盤臓器脱手術を受ける女性って、ふくよかな体形の方が多いです。
少々ぽっちゃりしている程度なら問題ないんですけど、ときに重度肥満の方がいらっしゃいます。
肥満も程度がすぎると、あらゆる面で不利になります。
是非、ダイエットして標準体型に戻すことをおすすめします。
どれくらい肥満だと手術リスクが高くなるの?
肥満を評価する指標に、Body Mass Index(BMI)というものがあります。
ヘルスケアラボ:BMI測定
ためしに、↑自分のBMIを測ってみましょう。
このBMIが30を超える人では、麻酔や手術に悪影響がでやすいことが分かっています(参考)
骨盤臓器脱手術を受ける人:肥満だと何が不利なの?
糖尿病の人が多く、免疫力が落ちている
まず肥満の人って、糖尿病になってることが多いです。
糖尿病だと免疫力が落ちるので、手術の後に感染(傷に細菌が繁殖すること)を起こすリスクが高くなります。
いまのところ、私が手がけた子宮脱や膀胱瘤の手術で、感染が起こったことは無いんですけどね。
心疾患を合併していることが多い
また肥満の人は、狭心症などの心疾患を抱えている人が多いです。
術前検査で心疾患が疑われた場合には、さらに詳しい検査を行う必要があります。
採血や点滴が大変
太っている人って、静脈が脂肪に埋まってるので、採血も点滴も難しいんです。
何回もやり直して、痛い思いをすることになります。
麻酔のリスクが高くなる
全身麻酔の時、気管内にチューブを留置します。
太っている人では、このチューブを留置するのが難しいことがあるんです。
手術も難しくなる
子宮脱とかの手術では、指先で剥離して、深いところにある「靭帯」まで到達する必要があります。
太っている人では、この靭帯に指が届きにくいことがあります。
そして靭帯を穿刺して糸をフックで拾うんですけど、太ってる人では周囲から肉が迫ってきて、この操作も難しくなります。
呼吸器のトラブルも起こりやすい
おなかの脂肪で肺が圧迫されているので、呼吸が十分に行えません。
だから低酸素状態とか、肺炎とかを生じる可能性が高くなります。
エコノミークラス症候群のリスクも高くなる
肥満の人って、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)のリスクも高くなります。
術後の尿失禁も起こりやすくなる
肥満の人って、腹圧も高くなっています。
骨盤臓器脱手術を待つ間に、頑張ってダイエットしませんか?
というわけで、骨盤臓器脱手術を受ける場合に、肥満はなにひとついいことがありません。
手術まで3か月くらい待ち期間がありますので、頑張ってダイエットしませんか?
手術だけに限らず、他にもいろんな面でメリットがあるはずです。
赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科