骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
なんかコロナ禍が落ち着いて以来、旅行の質問が多いんですよね・・・
せっかくの機会ですから、ここでまとめて説明しようと思います。
旅行先によって、OK出す時期を変えてます
結論から言いますと・・・
退院後初回の受診で問題なければ、近場の旅行はOKです。
ただし遠方へ旅行するのは、術後2か月くらいやめときましょう。
以下、くわしく触れてみます・・・
近場の旅行は、わりとすぐOK出してます
まず、車や電車で1~2時間くらいで行ける旅行について。
これくらいの近距離の旅行であれば、特に制限していません。
退院後初回の外来診察で問題なければ、OK出してます。
そもそも当院で骨盤臓器脱手術を受ける患者さんは、北関東や東北や関西といった、遠方から来院される方もよくいます。
そのような方でも、退院して長距離移動しても問題ないんだから、これくらいの旅行はまず大丈夫と言えるでしょう。
骨盤臓器脱手術を受けた方で、もしなにかトラブルが起こるとすれば、それは「出血」です。
膣壁の傷がこすれて、刺激で出血する可能性があるんですね。
出血以外のトラブルは、まずなにも起こりません。
膣壁の傷からの出血は、たいていの場合、少量のじわじわした出血です。
だから対応を急ぐことはまれです。
平日であれば、電話を入れて5時までに来院してくれれば、私が止血を行います。
5時までに来れないようだったり、休日に出血したのであれば、翌日に来院していただくこともあります。
多くの場合、そんなに対応を急ぐ必要はないんです。
ただ実際には、退院後に出血して来院していただくようなケースは、年に一人いるかいないかという程度です。
遠方への旅行は、二カ月間ひかえましょう
遠方への旅行は、二か月間ひかえるようお伝えしています。
たとえば北海道とか沖縄とかに、飛行機で旅行に行って、旅先で出血したら大変です。
骨盤臓器脱手術の術後出血なんて、対応したことがある病院はほとんどありません。
だからあちこち病院に電話しても、断られて途方に暮れることになるでしょう。
特に海外旅行とか離島とか、ほんとやめといた方がいいですよ。
術後二か月すれば、傷が治癒するので・・・
遠方に旅行するのは、それからにしてくださいませ。
自分で運転するのは、痛みが取れてから
自分で車を運転するのは、痛みがとれてからにしましょう。
事故った人はいないんだけど、アクセルとかブレーキの操作に影響が出たら困ります。
言うこと聞かずえらい目にあった人の話
以下、余談です。
むかし、とある病院のA先生から、こんな話を聞いたことがあります。
骨盤臓器脱手術の話じゃなくて、痔核手術の話なんですけどね・・・
米国在住の男性Xさんが、日本に帰国して、A先生の病院で痔核手術を受けました。
「術後は一か月くらい日本にいてください」と言われていたにもかかわらず、すぐに米国へ戻ったそうです。
でも痔核の手術って、術後一か月くらいは、出血する可能性があるんです。
そしたらXさん、飛行機の中で出血が始まったそうです。
米国に到着して、なんとか病院にたどり着いて、止血してもらった。
米国ですから、高い医療費を払う羽目になったかもしれません。
Xさん、自業自得とはいえ、納得いかなかったんでしょう。
病院にクレームの電話が来たそうです。
でも「術後は一か月くらい日本にいてください」と説明されており、それをカルテにも記されていたそうで、病院はクレームを受け付けず。
そりゃそうですよね。
・・・さいわい、当院で骨盤臓器脱手術を受けた患者さんで、こんな目にあった人はいません。
でももしこうなったら、とてもひどい目に会いますよね。
「骨盤臓器脱手術後に、遠方や海外に旅行したい人は慎重に」というお話でした。
赤木一成 骨盤臓器脱外科医