骨盤臓器脱術後に、退院延期となる理由にはなにがある?

入院スケジュールの例(火曜手術の場合)

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。

 

今回は、入院期間のお話をさせていただきます。

 

当院骨盤臓器脱手術の入院期間は一週間(7泊)で、手術日は「月・火・木・金」です。

 

ほぼ全員が、だいたい予定通り(伸びても1日とか2日とか)に退院できています。

退院が大幅延期(予定より3日以上の延期)となる人は、100人中1人くらいでしょうか。

 

退院延期の理由と対処法

 

排尿困難

 

手術を受けた方は、おしっこの管(バルーンカテーテル)を4日間留置して、膀胱を休めます。

この管を抜去したあと、尿がうまく出せない方がいます。

 

手術自体の合併症ではなくて、膀胱が手術刺激をうけて「びっくり」してたり、もともと膀胱機能が弱かったりするんですね。

 

退院延期の原因は、だいたいこれです。

全体の1%くらいに起こります。

 

「膀胱機能を回復する飲み薬を開始」したり、「バルーンカテーテル留置期間を延長」することで、数日で回復してきます。

 

また頻度はきわめて少ないけれど(数年に1人)、回復が遅すぎる人の場合には、しばらく自己導尿が必要になる人もいます。

 

便秘

 

便秘は、術後トラブルの中でもっとも多いものです。

たいてい、術後2~3日目に起こります。

 

これは下剤を増量したら改善して、退院する頃にはほとんど問題なくなります。

よって便秘で退院延期となる方は、ほぼいません。

 

痛み

画像引用

 

手術ですから、だれでも多少の痛みはあります。

だから遠慮なく、痛み止めを所望してくださいませ。

 

痛みは、手術当日夕方~翌朝がピークです。

日を追うごとに痛みは軽快してゆき、退院する頃には大体問題なくなります。

 

ということで、痛みが原因で退院延期となる方は、ほとんどいないということですね。

 

遠方にお住まい

 

当院骨盤臓器脱外科には、遠方から来られる方も多数おられます。

北関東とか、東北地方とか、東京西部や神奈川県とか。

 

このような方でも、一週間で帰れることが多いんですけど、相談して長目に入院することもあります。

 

高齢の方

 

高齢の方だと、安心のために長目の入院を希望されることがあります。

 

ベッドが空いてればOKですよ。ご相談ください。

 

手術合併症による退院延期

 

手術自体の合併症(重度臓器損傷とか、多量出血とか)による退院延期は、近年ではほぼ皆無です。

 

頻度は、500人中一人以下と考えてくれればいいでしょう。

 

その他の理由

 

・・・他に、こんな退院延期の理由もありました。

 

  • 居心地いいからもう少し病院に居させてほしい。
  • 家は寒いからもうしばらく病院に居たい。
  • 退院したら孫の子守させられるから、もう少しゆっくりしたい。

 

 

こんなリクエストって、どうすればいいんでしょうかね?

病棟師長に丸投げしてるんですが・・・(笑)

 

 

赤木一成

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科