日常検査のラスボス:大腸内視鏡(今日は骨盤臓器脱手術の話ではありません)

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。

 

いつも骨盤臓器脱手術の話ばっかりなので、今日はちょっと趣向を変えます。

 

骨盤臓器脱手術の前日に、全員に大腸内視鏡検査を行っているんですけど、今回はこの大腸内視鏡検査の話です。

 

 

日常検査のラスボス・大腸内視鏡検査

引用:小林幸子オフィシャルページ

 

今日は、「日常検査のラスボス・大腸内視鏡検査」というテーマでお話させていただきます。

「ラスボス」って、私が勝手にそう思ってるだけなんですが(すみません・・・)

 

「ラスボス」ってなんだか分からない人もいるかもしれませんが、「別格の存在」くらいの意味だと思ってくれればOKです。

 

病院で日常的に行われている検査の大半は、簡便短時間でできる。唯一の例外を除いては・・・

↑これは、当院の人間ドックのメニューです(どこの病院でもほとんど同じです)

血圧測定 ・視力 ・眼底眼圧・聴力 ・腹部超音波・肺機能 ・骨密度 ・血液検査・胸部レントゲン・CT検査・MRI検査・胃内視鏡検査・大腸内視鏡検査・子宮頚部細胞診・マンモグラフィ―・・・

 

これらの検査、みなさん経験したことがあると思います。

これらはいわば「日常的に行われている、一般的な検査」と言っていいでしょう。

病院で年間何千件も行われている検査ですから、ほとんどは「簡便短時間」で行える検査ばかりです。

 

この中で異質なのが、大腸内視鏡検査です。

病院で年間何千件も行われている、日常的な検査でありながら、ぜんぜん「簡便短時間」じゃないんですね。

前の日から検査食を食べて、当日は2リットルの下剤を何時間もかけて飲んで、検査の時には鎮静剤の注射して、検査は全部で30分くらいかかって、検査後は1時間安静にして・・・

こんな感じで、一日がかりの検査なんです。

 

そして検査も、検査技師さんや放射線技師さんがやるんじゃなくて、消化器専門の医師が行うんです。

 

大腸内視鏡検査って、経験1年2年の初心者には、手も足も出ません。

消化器専門の医師が、5年10年かかって何千件も修練を積んで、やっと一人前になれる検査なんです。

だから、まともに大腸内視鏡ができる医師は不足しています。

(参考)
内視鏡医や特に専門医・指導医は圧倒的に不足しており・・・
大腸内視鏡専門医の不足が今後の課題・・・
大腸内視鏡医の不足が問題・・・

 

ただし、骨盤臓器脱手術前日の大腸内視鏡は、楽で簡便に受けられます。

 

骨盤臓器脱手術の前日にも、かならず大腸内視鏡検査を行います。

ただし負担を考慮して、大腸の途中までの観察(上図右)にとどめています。

2リットルの下剤を飲む必要はありません。

短時間で終わって、苦痛もほとんどないはずです。

 

だから骨盤臓器脱手術を予定している方は、大腸内視鏡のことを心配しなくてもいいですよ。

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科