あけましておめでとうございます。
辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。
今回は、2024年の総括をいたします。
2024年の総括
2024年に私が手がけた手術は・・・
骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤・膣脱)経膣手術が249例でした。
他に、直腸脱経肛門手術が29例(うち骨盤臓器脱との合併例は10例)
比較的小さい手術(TOT手術、直腸瘤経肛門手術など)が28例ありました。
また、腹腔鏡チームが手がけた経腹手術(腹腔鏡下仙骨膣固定術、腹腔鏡下直腸固定術、子宮脱と直腸脱の合併手術など)は111例。
その他、他医師が手がけた骨盤底領域手術(直腸脱経肛門手術など)が24例。
全部ひっくるめると、441例という結果でした。
(電子カルテ見てざっと集計しただけなので、正確さはイマイチ)
骨盤臓器脱の手術成績
私が手がけた骨盤臓器脱手術で、入院期間がある程度延長になった方が、昨年は6~7名いらっしゃったと思います(一日二日程度の若干延長例はここに含めず)
例年は3~4人程度だから、今回はやや多かったですね。
入院延長の理由は、たいてい術後の排尿困難が原因で、膀胱機能回復に時間を要したケースです。
あとはごく一部に、出血トラブルに対処を要したケースがあって、術後に長目の安静が必要でした。
その後はみなさま問題なく経過してゆき、退院されました。
2024年はなぜか例年と比べて、「術後の排尿困難」が目立った印象です。
おしっこの管を抜いたあと、しばらく尿をうまく出せない人が、たまにいるんです(いずれみなさん回復してくるんですけどね)
うつ病の薬飲んでたりとか、膀胱機能が元々弱いとか、原因はいろいろですが
このトラブルは毎年一定頻度で起こってます。
これは、骨盤臓器脱手術を手がけている全国の病院、どこでも同じなんですけどね・・・
つぎに臓器損傷ですが
これは発生ゼロでした。
臓器損傷はここ1000例くらい起こっていません。
そしてメッシュを使用したケースも、ゼロでした。
ここ1000例くらい、メッシュを使わずに治すことができてます。
最後に再発ですが・・・
2024年に私が手術した骨盤臓器脱手術で、再発して再手術となったケースは、いまのところゼロです。
いちおう、完封達成と言えましょう(笑)
このまま再発が出てこないといいのですが。
直腸脱の手術成績
直腸脱は、骨盤臓器脱とくらべると難度が高いです。
さんざん苦労して工夫を重ねてきても、やっぱり1割程度の再発があります。
- 超高齢者が多く、使える術式が制限されやすいこと
- 重症度を術前に判定できないケースがよくあること
このあたりが理由でしょう。
まあこれは、永遠の課題ですね・・・
手術件数の推移
2024年の手術件数は、その前の年とくらべると、あんまり変わってないですね(笑)
2022年から件数は著変なく、プラトーに達した観があります。
↑ビジネスライフサイクルで言うと
導入期(introduction)と成長期(growth)を通過して
成熟期(maturity)のステージを迎えたんじゃないかと。
膨大な手術バックオーダーが積みあがっているので、もっと件数増やしたいのは山々なんですケレドモ
私はもう現状で「おなかいっぱい」なので・・・
「独立した術者」として活躍してくれる後進を、育てていかないといけませんね。
長期指針と、2025年の指針
長期指針は、↓ずーっと同じで一貫してます。
女性骨盤底外科(子宮脱・膀胱瘤・直腸瘤・膣脱・直腸脱・尿失禁etc)の技術を磨き続け、最善の手術をできるだけ多くの人に提供する。
この「自分の北極星」は、手術をやり続ける限り、変わることはありません。
そして2025年の指針は
手術をたくさん手がけて、技術を改良洗練し続けて、若手に教えて・・・
うーん、やってることはいつもと同じですね(笑)
でもまあ、方向性が正しいのは間違いないから、これでいいんでしょう。
赤木一成
辻仲病院柏の葉 骨盤臓器脱外科