裂肛は、通常「切れ痔」と呼ばれます。
裂肛の主な症状は、「痛み」と「出血」です。
裂肛の初期には浅く切れているだけですが(急性裂肛)、慢性化すると裂肛周囲が硬くなり(慢性裂肛)、のちに肛門が狭くなってきます(肛門狭窄)
急性裂肛のうちは薬で治すことができますが、慢性裂肛や肛門狭窄になると薬では治らないので、手術が必要となります。
裂肛の原因と症状
裂肛は、通常「切れ痔」と呼ばれています。
裂肛は便秘や下痢で肛門に強い負担がかかることで起こります。
裂肛の主な症状は、「痛み」と「出血」です。
裂肛を長年放置しておくと、慢性化して周囲が硬くなり(慢性裂肛)、のちに肛門が狭くなってきます(肛門狭窄)
また、慢性の裂肛では細菌が侵入して痔瘻となることもあります(裂肛痔瘻)
裂肛の進行度と治療
裂肛は進行度に応じて、①急性裂肛、②慢性裂肛、③肛門狭窄、の三段階に分けられ、この進行度で治療方針が決まります。
①急性裂肛
急性裂肛であれば、まず薬物療法を行います。
下剤で便通を整えた上で、薬(軟膏や坐薬)を使えば、多くの場合治すことができます。
②慢性裂肛
慢性裂肛になると、薬で治る可能性は低くなってきます。薬を使っても裂肛の症状が改善しない場合には、手術を考慮します。
手術手順は以下の通りです。
①慢性裂肛の状態。裂肛が慢性化すると、裂肛の上下に「肛門ポリープ」と「皮垂」という突起ができる。
②肛門ポリープと皮垂を切除し、裂肛を治りやすい形に整える(ドレナージ形成)
③肛門括約筋の緊張が強いと裂肛が治らないので、少しだけ切れ目を入れて括約筋をストレッチする。
③肛門狭窄
慢性裂肛を放置していると、今度は肛門が狭くなってきます。これを肛門狭窄といいます。
肛門狭窄は薬では治らないので、治すには手術が必要です。
手術手順は以下のごとくです。
①肛門狭窄の状態を示す。
②裂肛と周囲の瘢痕(ひきつれ)を取り除き、肛門を正常の広さに拡張する。
③図のように縫合する。このままでは縫合部につっぱりが生じて外れてしまう。
④皮膚に三日月状の切開を入れて、皮弁を作る。
⑤縫合部のつっぱりが解除される。