直腸脱の手術(直腸固定術)

  • 2018年12月27日
  • 2023年12月16日
  • 直腸脱

 

この手術は、肛門側からではなく「おなかの中」から行われる。

かつては下腹部を20~30cmくらい切開して開腹手術を行っていたが、最近では腹腔鏡というカメラ器械を用いて、小さい傷でできるようになっている。

 

直腸が脱出している状態を示す。

直腸の周囲はゆるい組織に囲まれている。

直腸を周囲組織からはがしてゆき(剥離:はくり)、直腸をぶらぶらにする。

 

ぶらぶらになった直腸をひっぱりあげて、正常の脱出していない位置に戻す。

 

 

直腸にメッシュ帯の片端を固定し、もう一方の片端を腰の骨(仙骨)に固定する。
(ここではメッシュを介して固定しているが、メッシュを使わない方法もある)

 

これで直腸が仙骨に固定され、脱出しなくなる。

 

直腸脱の手術(直腸固定術):解説

直腸固定術は、おなかの中から行う手術なので、「経腹手術」と呼ばれます。

この経腹手術は全身麻酔が必要なので、そのぶん肺や心臓に負担がかかります。

またおなかの中から内臓を切ったり縫ったりする必要があり、手術時間も経肛門手術(デロルメ法三輪-Gant法)よりだいぶ長くかかるという短所があります。

経腹手術は、経肛門手術と比べて、体の負担が大きいということです。

だからこの手術は、高齢者に行うことはあまりありません。

「全身麻酔のリスクが低い若い人で、かつ重度の直腸脱」などの場合に、この直腸固定術を行うことが多くなります(若い人であっても、軽度の直腸脱であれば、経肛門手術で問題なく治せます)

また頻度はまれなのですが、「経肛門手術で再発を繰り返す人」に直腸固定術を行うこともあります。

 

この直腸固定術は、若くて体力のある人であれば安全に行うことができます。

ただしほとんどの直腸脱は、かなり高齢の女性(80代の方が多い)に起こるため、われわれの施設ではこの術式の出番はそれほど多いわけではありません。

高齢の方では、全身麻酔が不要で侵襲(ダメージ)の小さい経肛門手術が選択されることが普通です。

 

作成:赤木一成(辻仲病院柏の葉 医師)