たまーに遭遇する困った事態・手術室編 今週の骨盤臓器脱手術は7例

トリを務めさせていただきました・・・

 

おはようございます。

辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科医師の赤木一成です。

 

週末なので、「一週間の骨盤臓器脱手術記録」を書きます。

患者さんを特定できないよう配慮して、数週間前の日常を描写しています。

 

手術を7例行いました。

この週は、子宮脱+膀胱瘤の手術を6例行いました。

いつもながら、全員大きなトラブル無く経過して、ほぼ予定通りの退院です。

 

とまぁここまでは、いつもどおりだったんですけど・・・

 

一週間最後(金曜AM)の1例で、ちょっと予定外の展開がありました。

 

予定外の展開になりました

 

こちらは、子宮脱+膀胱瘤の手術を予定しているAさんです。

 

手術当日の朝、いざ手術室に入ろうという時になって、↓こんなこと言われたんです。

 

 

ええっと、いま初めてそんなこと言われましてもですね・・・

 

まあ聞いてしまった以上、しかたありません。

「麻酔かけてお尻も診察して、異常があったら同時に治しましょう」と約束しました。

カルテにもきちんと記載しておきましょう。

 

これって、いままで何度か同じような経験してるんで、今後の展開が読めてしまいます。

だてに2000件以上、骨盤底外科手術をやってませんよ(笑)

 

麻酔をかけて見てみたら・・・

さてさて、全身麻酔をかけて、手術体位を取りました。

 

術前の診断は、↑子宮脱+膀胱瘤だったんですが、

麻酔をかけて直腸をひっぱってみたら・・・

 

 

やっぱり、↑直腸脱も合併してました。

まあ、こうなるだろうとは思ってたんですけどね。

 

直腸脱って、診察時には引っ込んでることが多いので、本人が言わない限りは分からないことが多いんですね。

 

そして麻酔をかけて筋肉がゆるんだ時に、はじめて直腸脱が判明することがあるんです。

 

 

まあ、あることが分かった以上、仕方ありません。

直腸脱も同時に治しましょうか。

 

それじゃ、頑張って治しましょう(笑)

さあ皆さん、直腸脱の手術も同時にやりますよ。

直腸脱手術用の器材セットも用意しましょうね。

 

子宮脱膀胱瘤の手術は1時間~1時間半。

直腸脱の手術も1時間~1時間半。

両方合わせて、2時間半くらいかかるでしょうか。

麻酔科の先生、当初の予定より時間かかります。ごめんなさい(汗)

 

金曜は午後から外来があるので、たくさんのご婦人方が受診される予定です。

皆様をお待たせしないよう、外来開始に間に合うように終わらせなければいけませんね。

ワタクシのランチタイムは無くなりそうですが(ボソ)

 

ということで2時間半にわたって奮闘し、無事手術を完遂いたしました。

術式はいつもどおり、子宮脱に対してメッシュを使わない経腟手術、直腸脱に対してデロルメ法を行いました。

 

直腸脱も同時に手術したので、入院期間は予定より数日延長としました。

術後はしばらく排便排尿が落ち着かなかったけど、大きなトラブル無く経過して、無事退院されました。

 

今年はなぜか直腸脱が多いんです・・・

 

なぜか今年に入って、直腸脱の手術件数がずいぶん増えてます。

 

それにあわせて、「子宮脱+直腸脱の同時手術」も増えてるんです。

この同時手術、ワタクシいつもは年間10~15例を手がけてるんですけど、今年はすでに20例を超えています。

さらにあと数名、年内に予定してる方がいらっしゃるんです。

たぶん全国最多ではないかと・・・

 

またこれに「子宮脱+痔核の同時手術」も合わせると、年間40例くらいになるだろうと思います。

 

骨盤臓器脱(子宮脱や膀胱瘤)と直腸肛門疾患(直腸脱や痔核)を同時に治せるのは、当院の強みのひとつです。

 

ただ商売繁盛なのはいいことなんだけど、やっぱりこの同時手術は疲れますねぇ(笑)

ということで、手術室の風景を描写してみました。

 

赤木一成 辻仲病院柏の葉・骨盤臓器脱外科